* season 1 *
この人達なら…
話しても良いよね?
「……あのね、皆に話したい事があるの。」
「花菜ちゃん?」
「先輩…?」
「…花菜、お前のペースでいい。」
「うん、ありがとう…私ね…。」
何から話そうかな…。
何から話せば上手く伝わるかな。
話そうって決めたのに
まだ心がドキドキしてる…。
「…私、本当は中学生じゃないの。」
「え?」
「それは、どういう…。」
「お前ら黙ってろ。花菜、話せ。」
「…私、本当はこの世界の人間じゃないんだ。」
「!」
「意味、わからないよね…でも、本当で……。」
そういう表情になるよね。
私だって意味わからなかったもん。
ここにいる私は中学生だけど
橋から飛び降りる前は二十歳だった。
……自分が一番混乱してる。
「皆と会うまでは、二十歳だった。」
「二十歳……せやから、急に大人びた顔するんやな。」
「私、職場で苛められてたんだ。雑用押し付けられたり、椅子にカッターの刃仕込まれたり、物盗まれたり…。」
「花菜ちゃん……。」
「理由は、男性社員に色目使ったからとか…ありもしない、くだらない理由。」
パサッ
「冴水先輩…。」
「この太ももの傷は、椅子に座った時にカッターの刃で切れた傷跡。」
「ひどい…。」
「それが、皆を拒絶してた理由。面倒な事になるのは、もう嫌だったから。」
皆は真剣な表情で
私の話を聞いてくれてる。
いつもふざけてる
芥川君でさえ、不安そうな顔をして…。
スカートを掴む手に力が入る。
その手に汗が滲む。
「………それでも、私は耐えられた。家に帰れば大好きな両親がいたから。」
「…。」
「私の両親ね、血の繋がりはないんだ。施設で育った私を大切に育ててくれたの。私にとって、お父さんとお母さんが全てだった。」
お父さんとお母さんも
無条件で私を愛してくれた。
この人達みたいに
大丈夫だよって…そばにいるよって…。
「そんな両親も、事故で……亡くなったの……。」
「っ……。」
「だから……もう……いいかなって…。」
「冴水先輩っ…。」
「橋から、飛び降りたの…。」
「っ!!」
「何の未練もなかった、死ぬのなんて全然怖くなかった……お父さんとお母さんに会えるって……。」
「…….。」
「死んだと思った…でも、私は…あなた達と出会った。」
「っ……。」
これで全部。
私が隠したかった過去。