*season 9*
―真田side―
彼女が
屋上から飛び降りたと聞いた時
俺は頭が真っ白になった。
彼女が自ら死を選んだ。
そうさせたのは、紛れも無い俺達だ。
俺達が咲を追い詰めてしまった。
あんなにも愛おしく
守りたいと思った彼女を
俺は裏切ってしまったのだから。
咲の明るい笑顔が
咲の優しく暖かな声が……
走馬灯のように頭を巡る。
「………咲は、桜良に手など出していない。」
「……。」
「最初からそんな事はわかっていたが、確信したのは……一ヶ月前の事だ。」
「何があった。」
「その日、俺達は体力トレーニングで校舎の外周をランニングしていた。」
「……。」
「ランニング中に赤也が足首を捻って、俺がテーピングを取りに部室に向かった。」
「赤也?」
「切原の事だ。」
「あぁ、あいつか。」
「部室に入ろうとした時に、声が聞こえたんだ。」
「声?」
”地獄に落としてやる”
普段の桜良とは思えぬ程
低い声でそう言ったのだ。
恐怖に怯えた咲の泣き声が
今でも頭に残っている。
俺は部室のドアを開け
咲を守るように桜良との間に入った。
そして、桜良を問い詰めた。
だが……その行為が、桜良の逆鱗に触れた。
「それからだ、俺が脅されているのは。」
「脅されてる?」
「この事を他の部員に言うのならば、咲がどうなっても知らないと。」
「……。」
「俺は怖かった……咲が傷付く事が。」
「なるほどな。今まで通りにしなければ、今度は自傷行為では無く咲を傷付けると言われたのか。」
「………。」
「なるほどな……。」
「咲が飛び降りた前日に、桜良は咲と別れろと言ってきた。」
「……何だと?」
「そして……自分と付き合えと。」
「まさか………。」
「あぁ……咲が飛び降りたのは、俺が別れを告げた後だ。」
「そんな………。」
「俺は一方的に別れを告げ、屋上を後にした。そして、テニスコートに行く途中でその知らせを聞いた。」
別れる理由を言わなかったのは
自分のせいでと、咲に思わせない為だった。
それなのに。
俺は咲を絶望させた。
俺にまで見捨てられたと、思ったのだろう。
ならば、どうすればよかった。
どうすれば
咲を傷付けずに済んだのだ。
俺には、わからない。
彼女が
屋上から飛び降りたと聞いた時
俺は頭が真っ白になった。
彼女が自ら死を選んだ。
そうさせたのは、紛れも無い俺達だ。
俺達が咲を追い詰めてしまった。
あんなにも愛おしく
守りたいと思った彼女を
俺は裏切ってしまったのだから。
咲の明るい笑顔が
咲の優しく暖かな声が……
走馬灯のように頭を巡る。
「………咲は、桜良に手など出していない。」
「……。」
「最初からそんな事はわかっていたが、確信したのは……一ヶ月前の事だ。」
「何があった。」
「その日、俺達は体力トレーニングで校舎の外周をランニングしていた。」
「……。」
「ランニング中に赤也が足首を捻って、俺がテーピングを取りに部室に向かった。」
「赤也?」
「切原の事だ。」
「あぁ、あいつか。」
「部室に入ろうとした時に、声が聞こえたんだ。」
「声?」
”地獄に落としてやる”
普段の桜良とは思えぬ程
低い声でそう言ったのだ。
恐怖に怯えた咲の泣き声が
今でも頭に残っている。
俺は部室のドアを開け
咲を守るように桜良との間に入った。
そして、桜良を問い詰めた。
だが……その行為が、桜良の逆鱗に触れた。
「それからだ、俺が脅されているのは。」
「脅されてる?」
「この事を他の部員に言うのならば、咲がどうなっても知らないと。」
「……。」
「俺は怖かった……咲が傷付く事が。」
「なるほどな。今まで通りにしなければ、今度は自傷行為では無く咲を傷付けると言われたのか。」
「………。」
「なるほどな……。」
「咲が飛び降りた前日に、桜良は咲と別れろと言ってきた。」
「……何だと?」
「そして……自分と付き合えと。」
「まさか………。」
「あぁ……咲が飛び降りたのは、俺が別れを告げた後だ。」
「そんな………。」
「俺は一方的に別れを告げ、屋上を後にした。そして、テニスコートに行く途中でその知らせを聞いた。」
別れる理由を言わなかったのは
自分のせいでと、咲に思わせない為だった。
それなのに。
俺は咲を絶望させた。
俺にまで見捨てられたと、思ったのだろう。
ならば、どうすればよかった。
どうすれば
咲を傷付けずに済んだのだ。
俺には、わからない。