* season 1 *


「冴水先輩をマネージャーにしたのは部長だ。文句があるなら部長に言えよ。」


「ひ、日吉君!これには訳があって……。」


「訳って?」


「そ、それはっ……。」


「日吉君、もうやめてあげて?」


「先輩…。」


「日吉君の目力、人殺せそうな程怖いから。」


「……次はないからな。」


「ごめんなさいっ!」





彼女達は教室を出て行った。

その程度で怯むくらいなら
最初からやるなよ。


イラつく……。





「先輩、何で避けようとしなかったんですか。」


「え?」


「わかってましたよね?彼女が叩こうとしてたの。」


「わかってたよ?」


「なら、何で…。」


「んー…彼女達の気持ちがわかるから、かな。」


「え…?」


「もし逆の立場だったら、すっごい悔しいもん。ずっと前から想い続けてたのに、急に現れた子に横取りされちゃうの。」


「先輩…。」


「女の子ってね、理屈じゃないんだよ。」





冴水先輩は
笑顔でそう言った。




この人は
どうしてそこまで
人の想いに寄り添う事が出来るんだ。


完全に相手が悪いのに
認めて、許して…。
自己犠牲を払って受け止める。


関係ない俺でさえ
腹が立ったのに……。





「…先輩は強いですね。」


「強くなんかないよ。今だって、日吉君が来てくれなきゃ痛い思いしてたし。」


「それは、そうですけど。」


「二回も私を助けてくれて、ありがとう。」


「っ…俺は……別に…。」


「日吉君、顔真っ赤だけど大丈夫?」


「だ、大丈夫ですっ!」






油断した。
この人の笑顔は反則だ…。


冴水先輩は
大人びた雰囲気から
急に可愛らしい顔をする。



女なんて
誰でも同じだと思ってた。


でも、この人は…。
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