*season 9*










瀬名の奴。

さては、柳に惚れてるな。















くくっ、あいつも隅におけねぇな。









ガラッ









「澪。」


「お、噂をすれば。」


「噂をすればって、何よ。」


「いやいや、こっちの話だ。」


「……。」


「………で?何で、柳を連れて来た。」


「今まであった事を、話してくれるわ。」


「へぇ……。」






瀬名は上手く話が出来たようだな。




さすが、仕事の出来る奴。
というか………瀬名が適任だったんだろうな






それにしても
柳の奴、朝の雰囲気とは随分違うな。



何か吹っ切れた様な
良い顔をしてやがる。






「なら、さっさと話して貰おうか。」


「………八割方、お前達の想像している通りだ。」


「………。」


「最初は、特に何の問題も無かった。咲も桜良の事を本当の妹みたいに可愛がって、桜良も咲の後ろにいつも付いて回っていた。」


「その光景に、お前は何か違和感を感じたか。」


「いや、あの時の二人は本当に仲が良かった…そう思う。」


「東堂が咲に対して、危害を加えられたと騒ぎ始めたのはいつ頃からだ。」


「桜良が入部して、二ヶ月程経った頃だ。」


「……何があったの?」


「……咲と真田が付き合い始めたのが、丁度その頃だ。」


「東堂は、真田が好きだったのか?」


「わからない……ただ、以前他校の生徒に絡まれた時に弦一郎に助けられた事があると聞いた。」


「ナンパって事か。」


「あぁ。その時から桜良にとって弦一郎は、ヒーローなのだと。」


「……その程度の事で、東堂さんは咲を嵌めたって事?」


「恐らくはな……。」







その程度の事で
ここまでやるか……?





それとも
そこまでしなくては行けない程
真田の事を好きだったか……。







私はそういう経験が無いからな。














お、適任なのがいたな。








「瀬名。」


「ん?何?」


「例えばの話として聞いて欲しいんだが……。」


「何よ、勿体ぶって。」


「例えば、お前が柳を好きだとして……。」


「なっ……。」


「だから、例えばだって言ってんだろ。」


「も、もう……。」


「柳を他の女に取られたとしたら、お前はどう思う。」


「え………。」


「逆に、柳。」


「何だ。」


「もしお前が瀬名を好きだとして、他の男にこいつを取られたらどう思う。」


「………。」


「わ、私は………。」


「もし、そうならば……渡さない、絶対に。」


「えっ……蓮二?」


「ほぅ……瀬名は?」


「え、私は………。」


「私は?」


「っ………。」


「京華、顔が真っ赤だぞ。」


「だ、誰のせいよっ……。」


「くくっ……あはははっ!」


「み、澪!?」










あー、良いもの見せて貰った。











しかし、柳の奴……。
















あいつも案外
人間らしいとこあるじゃねーの。
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