*season 9*
「それで、話とは何だ。」
「………蓮二は、気付いてるんでしょう?」
「……何の事だ。」
「自分でわかってる筈よ。」
「………。」
「お願い、蓮二が知っている事を……教えて。」
「……俺には何の事か、わからんな。」
だったら
どうしてそんなに
苦しそうな顔をするの?
私は蓮二が苦しむのを見たくない。
だから、お願い。
一人で抱え込まないで。
「お願い、蓮二っ……。」
「………俺だって、わかっている!」
「蓮二……。」
「咲には何も非はなかった!あいつは、桜良に危害を加えたりしていない!」
「……うん。」
「そんな事っ……わかってっ……くっ……。」
蓮二は膝から崩れ落ちた。
普段の蓮二からは
想像出来ない程か細い声で
泣き崩れていた。
蓮二、辛かったね。
いけないとわかっていても
抜け出す事の出来ないもどかしさ。
だけど…
あなた達は何の罪もない咲を
吊し上げて暴力で追い詰めた。
そこは彼女に対して償うべきだ。
でも、あなたは気付く事が出来た。
ここから変わる事は出来るはずよ。
「……。」
「全て、俺達がっ……。」
ギュッ
「っ………京………華………?」
「大丈夫よ、蓮二。」
「くっ……うっ……。」
「蓮二は自分で気付けたじゃない、ここからどうするか……でしょ?」
「あっ……うっ………うぁぁっ……。」
「蓮二も、辛かったね……。」
泣き崩れる蓮二を抱き締める。
私よりもずっと背が大きくて
胸も広くてこんなに逞しいのに
蓮二は子供みたいに泣いている。
人は誰でも弱い部分を持ってる。
取り繕うこと無く
自分自身でそれを認めて受け止める事で
前に進む事が出来るのだと私は思う。