*season 9*
その日の放課後。
部活に向かう前の蓮二を
廊下で待ち伏せる。
慶太君達が言っていたように
私と澪は有名人らしく
色々な人に声を掛けられた。
上手くかわしながら
蓮二を見落とさない様に待機。
……来た。
「蓮二!」
「……京華、何の用だ。」
「話があるの。」
「言った筈だ、話す事等ないと。」
「私はあるの。」
「………。」
蓮二は鬱陶しげな表情をする。
だけど私は絶対に引かない。
今、蓮二と話が出来なければ
この先もずっと状況は変わらないから。
「蓮二、お願い……。」
「………わかった。」
「ありがとう……。」
「場所を変えるぞ。」
蓮二に連れられて屋上に移動。
その場所を選んだのは意外だった。
だってそこは
あの日、咲が死ぬ事を選んだ場所。
蓮二達にとっては忘れたくても忘れられない
忌々しい記憶のある場所だから。
話をする事を拒んだ蓮二だけど
きっと蓮二も終わりにしたいんだ。