*season 7* fin



「………これは、何だ。」


「瑞稀さんがね、自分がいなくなったら……君に渡して欲しいと僕に渡して来てね。」


「……。」


「一体何故……越知君、手紙を開いてみましょう。」


「瑞稀の野郎、何も言わないで出て行くとか…ありえねーし。」

















向日葵柄の封筒。















丁寧な可愛らしい文字。




















”月さんへ”



















”急にいなくなって、本当にごめんなさい”





















”だけど、こうするしか無かった”






















”私は月さんの事が大好きです”




















”今も、これからもずっと……….”























”だから…………………”

























”どうか”























”…………幸せになって下さい”






















「っ…………。」


「ツッキー………。」


「月………くっ…………。」


「月ちゃん、何で………一人で抱え込むんや。」


「瑞稀さん……嘘だっ……。」


「入江……。」




















”そして、大好きな皆さん”

















”私の事、暖かく受け入れてくれて”














”本当に、ありがとうございました”














”皆がいてくれたから”














”私はこの場所が大好きになれた”
















”本当に、お世話になりました”

















”テニス、頑張って下さい”















”心から応援してます”
















「………っ馬鹿野郎が!」


「遠野……。」


「瑞稀……最後は、またね……じゃないのか。」


「……そうだよな、徳川。」


「これじゃ、もう会えへんみたいな……そないな文にしか……。」


「毛利君……。」


「彼女は、全て一人で背負っている様だったよ……何もかも、ね。」


「コーチ、それはどういう意味だ。」


「僕も、何も教えて貰えなかった。ただ…そんな感じがするんだ。」























お前はいつも
一人で背負って、一人で泣いて……。























そんなお前を守りたいと思った。






















結局、俺は何もしてやれぬのだな。

















「貴様等、何情けない顔してやがる。」


「ですなぁ。」


「平等院、てめぇ………。」


「貴様等は何しにここに来た。」


「………。」


「…あの女は、以前俺にこう言った。」


「え……?」


「その程度の事で心が揺らぐなら、その程度の力なのだと。」


「!!」


「俺達は世界を取る、違うか。」


「………その通りだ。」


「越知……そうだな。」


「俺はこのチームで世界を取り、月を迎えに行く。」


「……そやね!俺も、月ちゃんに会いたいです!」


「ふっ………死に損ないが、急に良い顔になりやがって。」


「だな……お前等、上げていくぞぉっ!!」


「「おーー!!」」

















俺はU-17日本代表だ。










それを忘れてはいけない。








成すべき事を成さずに
お前に顔向け出来るはずがない。





























月、待っていろ。

























すぐに迎えに行く。
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