*season 7* fin
―越知side―
昨日。
自分の担当の時間を終え
月の担当のブースまで迎えに行った。
しかし、彼女はいなかった。
月の代理で施設のスタッフが
植木鉢の受け渡しを行っていた。
彼女はどうしたのかと尋ねても
ただここに配置されただけと
そのスタッフも知らない様だった。
昼過ぎに
部屋も見に行ったが
やはり見つける事は出来なかった。
結局、月を見つけたのは
もう日が暮れ掛けた頃だった。
もう一度部屋の方に探しに行くと
月は今にも消えてしまいそうな
弱々しい表情をしていた。
そして
俺の事を大嫌いだと…。
俺の目が怖かったと………。
俺の事を必要無いと、言った。
月の苦しそうな顔が…
涙に溢れた瞳を忘れる事が出来ない。
脳裏に焼き付いている。
「朝か………。」
朝の五時。
日が上り始める時間だ。
月の事を考えていたら
寝落ちしてしまったようだ。
睡眠時間は十分とれている。
それなのに見える風景は
霧がかかった様にボヤけている。
「………。」
「んーっ……あり?月さん、早いっすね。」
「毛利、起こしてしまったか。」
「ん?月さん、目が赤いけど…どないしたん?」
「赤い……?」
そうか。
眠っている間に泣いていたのか。
涙を流した事など
ここ何年も無かった筈だ。
それ程までに月の言葉が
俺の心を苦しめたのだ……。
「何か、あったん……?」
「……気にするな。」
「月さん……。」
「俺はランニングに行ってくる、お前はもう少し休め。」
月、俺はお前を泣かせてばかりだな。
俺はお前の傍で
お前の笑顔を見続けていたい。
お前の心は、どこにいるんだ……。