*season 7* fin
早く部屋に戻ろう。
そして、眠ってしまおう。
そうすれば、明日になる。
そうすれば…全部、終わる。
「お祭り………。」
本当は楽しみだった。
浴衣を着て、髪を結って
月さんと一緒に手を繋いで歩く。
結局、叶わなかった。
望むからいけないんだ。
望まなければ
傷付く事も、悲しむ事もない。
「………。」
「月……?」
「……………月、さん。」
「今まで、どこにいたんだ。」
「………。」
「……月?」
「ごめん、なさい………。」
「何故、謝る。」
「約束してたのに……黙って、いなくなって。」
「……何があった。」
月さんの手は
優しく私の頬を包む。
いつもだったら
安心出来る彼のこの手も
今の私には残極なものでしかない。
どんなに沢山愛をくれても
優しさに満たされても
明日には何の意味もなくなってしまう。
だからもう、要らない。
私には必要ない。
「体調が、悪かっただけ……です。」
「……大丈夫か。」
「……もう、横になります。」
「部屋まで送ろう。」
「一人で平気……。」
「そんな訳無いだろう、顔色が……。」
「…………もう、やめてっ!!」
「っ………月?」
「月さんなんてっ、大嫌いっ!」
本当は、大好き。
「月さんの目も、本当ずっと怖かったっ!」
本当は、月さんの綺麗な瞳が大好き。
「月さんなんてっ………いらないっ………。」
本当は……ずっと傍に、いたい。
「月…………?」
「私に構わないでっ…………。」
「月っ!」
月さんの声を背中に
気付けば走り出していた。
部屋の近くまで来ていたらしく
すぐに部屋の中に入った。
部屋の鍵を閉めて
布団の中に潜り込む。
廊下からは
私の名前を呼ぶ月さんの声が聞こえる。
大好きな人の声が
こんなに近くで聞こえるのに
何故か、彼を遠くに感じる。
もう疲れた。
もう、眠ってしまおう。