*season 7* fin
気付いたら浴衣から
私服に着替えていた。
無意識の内に
浴衣を返しに行っていたらしい。
部屋に戻ろうと思ったのに
辿り着いたのは、あの日月さんと
初めてキスをした花壇の場所。
私、何でこんな所に………。
こんな思い出
もう、何の意味も無くなるのに………。
「っ…………うわぁぁっ………。」
初めて誰かを、あんなに好きになった。
月さんが笑ってくれる。
そんな事が凄く嬉しくて。
ただそれだけで良かった。
なのに…………。
どうして……。
それさえも許してくれないの。
苦しい…………。
息が上手く、出来ない。
「っ……はっ………うっ………くるっ………し………。」
「ん?……猫娘?」
「はぁっ……うっ……はっ………とっ……のさ………。」
「おい!どうした!しっかりしろっ!!」
「くっ……はっ……あっ………。」
「これは、過呼吸か?」
「遠野さっ………。」
ギュッ
「はっ………はぁっ……。」
「大丈夫だ、落ち着け。吐く息に集中しろ。」
「はっ……はぁっ……ふぅっ……。」
「その調子だ。焦らなくて良い、ゆっくりだ。」
耳元で聞こえる遠野さんの声は
凄く心地良くて、不思議と呼吸が安定していく。
苦しさが和らいで
自然と涙も止まっていた。