* season 1 *


「それで…。」


「アン?」


「何で今日も送りが跡部君なの?」


「何か文句があるのか。」


「そ、そうじゃなくて…交代でって言ってたから。」


「なぁ、冴水。」


「花菜でいいよ、跡部君。」


「え?」


「花菜って呼ばれた方が、私って感じするし。」


「…じゃあ、花菜。」


「何?」


「まだ、俺達に知られるのは嫌か。」


「………。」





跡部君は立ち止まって
私の方へ振り返る。


怖くないと言えば
それは嘘だ。

だけど
皆になら…。





「…明日。」


「え?」


「明日、皆がいる時に話す。」


「花菜…。」


「信じてもらえるか分からないし、もしかしたら軽蔑されるかもしれないけど…。」


「ばーか。」



そう言って
私のおでこをこづく。


月明かりに照らされた
彼の優しい笑顔が
私の胸を高鳴らせた。



「何があってもお前はお前だろ。」


「跡部君…うん。」


「もし、それをグダグダ言うような奴がいれば俺が黙らせてやる。」


「あはは、冗談じゃ済まなそう。」


「お前は黙って俺達のそばにいればいい。」


「…ありがとう、跡部君。」


「そうやって笑ってやがれ。」


「あはは、何か偉そう!」





ありがとう…。
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