*season 7* fin
出店ブースに移動した私達は
各持ち場に別れて行った。
さっき聞いたんだけど
それぞれ担当のブースが決まっているみたい。
種子島さんと大曲さんは射的。
君島さんと遠野さんはかき氷屋。
鬼さんと入江さんは金魚すくい。
毛利さんと月さんはお化け屋敷。
徳川さんは中学生と一緒みたい。
交代でブースを担当するみたいだから
時間が空いた時に、色々回ってみよう。
「よし、花の搬入はこれで大丈夫だね。あとは……。」
「あの……瑞稀さん。」
「あ、凛花さん。こんにちは。」
「こんにちは、急にごめんね。」
「いえ、何か御用でしょうか。」
「あのね……。」
凛花さん
どうしたのかな…。
何だか浮かない顔をしてるけど
もしかして体調悪いのかな。
今日も炎天下。
焼ける様な夏の太陽。
蝉達はいつもに増して
けたたましく鳴いている。
「月光と、付き合ってるんだよね?」
「あ……はい。」
「私ね、月光がこの合宿に行く前に……告白してるの。」
「え……?」
「私と月光は幼馴染で、小さい頃からずっと一緒だった。」
「……。」
「何をするにも一緒で、いるのが当たり前の存在だった。」
「……大切な、人なんですね。」
「うん、世界で一番大好きな人…。」
「……。」
「月光、私に言ったの…。」
「え?」
「今はテニスの事しか考えられないって……。」
「そう、ですか……。」
「なのに……何でっ?」
「凛花さん……。」
凛花さんは涙を流して
”何で”と言った。
私達が付き合っている事は
月さんから聞いたんだろう。
自分の事は
テニスを理由に振ったのに
蓋を開ければ彼女がいた。
立場が同じだったら
私だって同じ事を思うだろう。
辛そうな彼女の表情。
自分がそうさせているのだと思うと
胸が張り裂けそうになる。
「私の方が月光の事知ってるっ、過ごした時間だって多いのにっ……。」
「っ……。」
「どうしてあなたなのっ……?」
「ごめん、なさい…。」
「謝るくらいならっ、別れてよっ!」
「っ!!」
「出来もしないくせに、謝らないでっ!」
「……。」
「あなたなんて……いなければ良かったっ!!」
いなければ、良かった……か。
その言葉。
前にも言われた記憶あるな。
前は、虐めなんかする
皆の方が悪いって思ってた。
でも。
本当は。
私の存在が、皆を不幸にしていたのかな。