* season 1 *
越前君と真田さんの試合は
真田さんの勝利。
越前君は相当悔しかったのか
空いているコートで真田さんと再戦。
そういう負けず嫌いな所は越前君らしいや。
「あれ?次は精市さんと不二さんの試合のはずだけど……。」
「幸村はどこに行ったんだい?」
「さっきまでここにいたんですけど…。」
「トイレでも行ったのかな。」
「私、探して来ますね。」
「ありがとう、頼むよ。」
コート付近を始め
自販機の方まで見に来たけど
精市さんは見つからなかった。
まだ探してない場所……。
そういえば…
こっちには東屋があったはず。
行ってみよう。
「えっと……あそこだ。」
「っ……。」
「あ……精市さん!?」
「花菜、か……。」
「どうしたのっ!?しっかりしてっ……。」
「はは…少し持病の症状がね……。」
「私に掴まって!とりあえず椅子にっ……。」
「すまないっ……。」
東屋で倒れていたのは
精市さんだった。
意識はあるものの
汗を大量にかいて地面に倒れていた。
いったい何があったっていうの。
こんな弱々しい精市さん……。
「膝枕しますから、少し横になって下さい。」
「ありがとう……。」
「精市さん、持病の症状って……?」
「……前に、免疫系の難病を患っているという話はしたよね。」
「は、はい…。」
「時折、足に力が入らなくなって……。」
「だから、倒れて…?」
「こんな格好悪い所、花菜には見られたくなかっ……。」
「格好悪くなんかない!」
「花菜……。」
「こんな暑い中、一人でっ……無事で良かったっ………。」
「花菜、泣かないで……。」
精市さんは
きっと皆に心配をかけたくなくて
体の異変を感じた時に一人でここに。
精市さんは責任感が強くて
他人に弱みを見せない人だ。
こんなになるまで、一人で………。
どうして
気付いてあげられなかったの…。
「俺の為に、泣いてくれるんだね。」
「だって、心配で……。」
「俺は、花菜のそういう優しい所が……大好きだよ。」
「精市さん……?」
少し楽になったのか
精市さんは体を起こした。
さっきより顔色が良く
地面を踏む足には力が入っている様に見える。
「精市さん、起きて大丈夫なんですかっ?」
「うん、だいぶ良くなった。」
「良かった……。」
「花菜……好きだよ。」
「精市さん…。」
「初めて会った時から、君が欲しくて堪らなかった。」
「っ……。」
「卑怯で、ごめん。」
「えっ?」
グイッ
「んっ……ふぁっ……せっ……いち……。」
精市さんの唇が……。
これは、キス……?