*season 7* fin
「それで、何を思い悩んでんだ。」
「……大丈夫です、大した事じゃないですから。」
「いいから話せよ。」
「……さっき、平等院さんに言われました。」
「平等院に?何をだ。」
「私のせいで、越知さんのプレーに支障が出てるって。」
「何だと?あいつ、余計な事を……。」
あんな事言ってしまったけど
平等院さんが言ってた事は正しい。
私が越知さんに
余計な心配を掛けてしまってる。
嫉妬深くて、強情で、あの程度で拗ねてしまう。
我儘以外の何ものでもない、至って未熟だ。
彼らがここにいる第一の目的は
U-17日本代表として大会で優勝する事。
チームを率いている平等院さんからしたら
私はただの不穏分子なのかもしれない。
「越智さんや皆さんと出会って、私浮かれてたのかもしれません…今までこんなに楽しい事なかったから。」
「瑞稀……。」
「私が思っている以上に、皆さんは厳しい世界にいるんですね。」
「……そうだな、時には命をかけて試合に臨んでいる。」
「命を、かけて……。」
「だが、誰かと付き合って支障が出る様なメンタルならそれまでって事だ。」
「……。」
「傍にへばりついてるだけが、恋人って訳じゃねぇだろ?とりあえず、お前はお前の仕事に専念したらいいさ。」
「そうですよね…鬼さん、ありがとう。」
「気にするな、お前が笑ってねぇと心配になるだろうが。」
「鬼さん…私のお父さんになって下さい。」
「せめて、お兄さんにしてくれ。」
「ふふっ、そうですね。」
鬼さんと話してると
何だか大丈夫って気になってくる。
自分の仕事に専念しろ、か……。
本当にその通りだよね。
私がやるべき事は決まってる。
私にとって越知さんは特別な人。
私には友達と呼べる人はいない。
だけど、越知さんは私以外にも大切な人はいる。
それに対して
いちいち嫉妬しているようではダメだ。
そんな事じゃ、いつか越知さんにも見放される。
清々しい風が吹く。
うん。
大丈夫。
今は私のやるべき事をやろう。