*season 7* fin
徳川さんと別れて
明日の自分の担当ベースの様子を見に来た。
そもそも、私は仕事でここに来た。
皆の優しさに甘えて
そこを疎かにしてはいけない。
そして越知さんは
テニスの日本代表としてここにいる。
多分、私はその邪魔をしてる。
余計な心配や気遣いをさせてはだめだ。
私の嫉妬や我儘なんか
ただ邪魔なだけなのだから。
「わぁ……たくさん出店のスペースがある。明日時間があったら見てみようかな。」
ドンッ
「あっ、ごめんなさい!」
「……気をつけろ。」
歩き出そうとした時
前から歩いて来た人とぶつかった。
この人も赤いユニフォーム。
ということ日本代表選手。
鬼さんの貫禄も凄かったけど
この人からは貫禄というか………
威圧感みたいなものを感じる。
「貴様、瑞稀とかいう花屋か。」
「は、はい。瑞稀 月です。」
「ふん……あまり俺達の邪魔をするなよ。」
「邪魔をしたつもりは、ないのですが……。」
「越知の野郎を誑かしているそうだな。」
「そんな言い方っ……。」
「女一人男の中に紛れ込んで、さぞ気分が良かっただろうな。」
「………何が言いたいんですか。」
この人から悪意は感じ無い。
だけど
私に対してのこの態度は何?
いったい私に何を言いたいの。
金髪で無精髭を生やしたこの人は
見下す様な目で私を見る。
それに対抗するように睨み返す。
「あいつにこれ以上関わるな。」
「あいつというのは、越知さんの事ですか?」
「最近の越知は、アップダウンが激しすぎる。そんな
メンタルでは世界は獲れん。」
「要するに、それが私のせいだと言いたいんですね。」
「察しが良いじゃねぇか。」
「………。」
「貴様の恋愛ごっこに口を出すつもりはねぇ。だが、大会が終わるまでは邪魔をするな。」
「……確かに、私は皆さんに迷惑をかけたと思います。」
「わかってんなら、これ以上……。」
「だけど、あなたの言う恋愛ごっこ如きで練習に差し支えるって事は……その程度って事ですよね。」
「……何だと?」
失礼な事言ってるのは
わかってる。
だけど、どうして私が
ここまでコケにされなきゃいけないの。
確かに加藤君の時とか
皆に本当に迷惑かけたと思う。
あれは皆には関係ない、私の問題だったから。
邪魔をするなっていうのは要するに
越知さんと別れろって言いたいんでしょ?
そんな事
関係ないこの人に言われたくない。