*season 7* fin


「んっ……ぁっ……はぁっ……。」


「瑞稀っ……はっ……誰にもっ……渡さないっ……。」


「おちさっ……ふっ……んぁっ……。」




気付くと
私は越知さんに
抱きかかえられている状態に。


こうなると
もう彼の腕から逃げる術はない。
彼の愛欲を全て受け入れる。





絡み合う舌。





真夏の炎天下。
汗が滴る。

熱に浮かされたせいなのか
それとも、彼の熱が移ったせいなのか。


呼吸さえ満足にさせてくれない
越知さんの絶え間ないキスは
正常な判断ができない程に
私の頭を蝕んでいった。




「ぅぁっ……んっ……もっ……だめぇっ…。」


「足りん……月……お前が欲しい。」


「っ……。」


「月光ー?どこー?」


「っ!?」





聞こえてきたのは
凛花さんの声。



私は慌てて越知さんから離れ
彼の隣に座り直した。


心臓がバクバクいってる。

苦しくなる程の鼓動は
越知さんのキスのせい?凛花さんの声?
それさえも考えられない程に動揺している。





「あ、月光!」


「何か用か。」


「あ、瑞稀さんもいたんだ。」


「先程はどうも…。」


「凛花、何の用だ。」


「そうそう!明日なんだけどさ、一緒にお祭りまわろうよ!」


「え……。」


「いいでしょ?月光。」


「俺は構わないが………。」





あれ……?

一緒にお祭り回る気でいたのに
私の早とちりだった……?



凛花さん、凄い喜んでる。
ていうかお似合いの二人だよね。
こういうのを美男美女って言うんだ。









君島さん
自分を好きになるには
どうしたら良い?
どうしたら自信が持てるの?


私にはその答えがわからないよ。





「瑞稀、聞いているのか。」


「え……?」


「瑞稀さんも一緒にまわろうよ!」


「一緒に…?」


「私と月光、瑞稀さんの三人!」


「……。」


「瑞稀、悪い。こいつは言い出したら聞かない奴でな。」


「何その言い方ー!」


「本当の事だろう。」


「昔から月光はそうだよね、まったく。」





苦しい…。

凛花さんは
私の知らない越知さんを知ってる。
小さい頃、小学生、中学生、今も……。




私は何を知ってる?

越知さんは
精神の暗殺者って言われてて
水と更科蕎麦が好きで……。




そんなの
毛利さん達なら皆知ってる。





「………私、仕事に戻ります。」


「あ、瑞稀さん!」


「明日は、植木鉢の用意と受け渡し作業があるので私は遠慮します。」


「俺も手伝おう。」


「結構です、私の仕事なので。失礼します。」


「瑞稀!」


「瑞稀さん、大丈夫かな……。」










みっともない。






自分の稚拙さに反吐が出る。
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