*season 7* fin


「凛花、心做しか…。」


「苦しい?ちょっと締めすぎた?」


「お前、わざとだな。」


「バレた?」


「お前という奴は……。」


「そんなに褒めないでよ!」


「褒めてはいない。」





越知さんの優しい笑顔。


以前の私なら
越知さんが笑ってくれるだけで
ただそれだけで、嬉しかった筈なのに…。



越知さんを笑顔にさせたのが
私じゃ無かった事がこんなにも苦しい。


私じゃない女の子に笑わないで。
越知さんに触らないで。
私から越知さんを取らないで…。




醜い感情が心を満たす。





嫌だ。


そんな風に思いたくない。





「……凛花さん。」


「んー?」


「この向日葵の浴衣、明日お借りしても良いですか。」


「試着する?着るの手伝うよ?」


「自分で着れるので、大丈夫です。」


「そ、そう?」


「では、失礼します。」


「瑞稀。」


「……失礼します。」





あの時は ”月” って
呼んでくれたのに……。





結局、私は空っぽだ。


誰が傍にいてくれても
私の器は脆くて、廃れていて
水を入れたところで全て零れ落ちていく。






そっか。

これは ”嫉妬” だ。





本当にどうしようもない。






昔からこんな自分が大嫌いだ。





本当は私を虐めた人達が憎いんじゃない。






そんな運命に負けた
私自身が一番憎いんだ。





「…………。」


「おや、瑞稀さん。」


「……君島さん。」


「……どうしました、顔色が良くありませんね。」


「………。」


「……一人で抱え込むのは、やめた方が良い。特に君の場合は。」


「君島さん……。」


「話してごらん。」


「………私、わからないんです。」


「わからない、とは?」


「………それも、わからないんです。」


「……。」


「こんな自分が、嫌いです。」


「……自分を好きになると言うのは、容易い事ではありません。」


「……。」





君島さんは
芸能人でいつもキラキラしてて
そういう人は私と違って
自信に満ち溢れているとばかり思ってた。




”自分を好きになると言うのは
容易い事ではありません”



そう言った彼の横顔は
どこと無く儚げで、切なげで……。





「君島さんは、自分が嫌いなんですか?」


「嫌いではありません。」


「そう、ですか……。」


「自分を好きになれる様にと、日々思っています。」


「あ……。」


「瑞稀さん、肩の荷を下ろしなさい。」


「っ………。」


「過去に囚われる必要は無い。あなたは、あなたなのですから。」








私は、私………。
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