* season 1 *





泣いたのがバレないように
少し休憩してから戻る事にした。


跡部君達、やたら勘が良いから
あのまま教室戻ったら
絶対に何か詮索してくるし。




「さて…そろそろ教室戻ろ。」


「冴水!!」


「跡部君…?」


「はぁはぁっ……。」


「どうしたの…?」





跡部君は息を切らせて
屋上に入って来た。


どこから走ってきたんだろう…。
凄い汗だくになってる。




「はぁっ……日吉が、お前がここにいるから迎えに行ってやれと言われてな。」


「日吉君が?」


「……泣いてたのか?」


「…泣いてないよ、教室戻ろ。」




グイッ




「きゃっ…跡部君?」


「…いや、何でもねぇ。戻るぞ。」


「う、うん…。」


「…日吉と、何かあったのか。」


「え…別に、何も無いよ。」


「…。」


「私、ここが立ち入り禁止って知らなくて…お弁当食べようと思ったんだけど、日吉君が教えてくれたの。」


「…そうか。」


「ごめんね、わざわざ…教室戻ろ。」





何となく
跡部君の顔を見る事が出来なくて
先に歩き出した。



跡部君の必死な顔が
頭から離れない。

私の事なんてほっとけばいいのに…。





怖い。

心に近づかるのが怖い。
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