*season 7* fin


「早速で悪いが…。」


「はい…?」


「今一度、キスしても良いだろうか。」


「……え!?だ、だめっ!」


「何故だ。」


「っ……ドキドキし過ぎて、死んじゃいますっ!」


「その程度の事、さして興味はない。」


「あっ……。」




越知さんの顔が近づいてくる。
野性的な瞳が、私を嫌と言わせてくれない。

欲望に忠実になった彼には
私の言葉はまるで届いていないようだ。


越知さんに求めてもらうのは嬉しいけど
キスをした事自体、今日が初めてなのに……。



このままじゃ私の心臓がもたないよ……。




「あかんっ!月さん!」


「きゃっ……毛利さんっ?」


「これ以上は俺の心臓がもたへんっ!」


「ツッキー、エロすぎ……流石の俺も鼻血出そーやったわ。」


「種ヶ島、毛利……ここで何をしている。」





そこにいたのは
種ヶ島さんと毛利さん。
そして、隠れているつもりだけど
丸見えの大曲さんと鬼さん。


この流れ、ある意味
定番になってきたんじゃ……。


でも、正直助かった。
あのままだったら私が鼻血出てたよ。





「隠れて見守る筈やったのに、月さんが色っぽ過ぎて耐えられへんかった……。」


「やべ、ホンマ鼻血出てきよった。」


「種ヶ島さん、ティッシュどうぞ!」


「月ちゃん、すまんなぁ……。」


「……鬼、大曲。お前達、それで隠れているつもりか。」


「げ、バレてたし……。」


「ぐ……。」


「でも、良かったですわ!」


「毛利さん…?」


「月さんも月ちゃんも、いつもの二人に戻って。」


「やな。」


「……世話をかけたな。」


「全くだぜ。だが、これで練習にも身が入るだろう。」


「瑞稀、お前さんも良かったな。」


「大曲さん……。」


「これからも、越知を頼むぞ。」


「鬼さん……こちらこそですっ!」




いつもこの人達は
近くで見守ってくれていた。


部外者の私を
ここまで受け入れてくれた。
いつも先回りして、悩みに寄り添ってくれた。


越知さんにちゃんと向き合えたのは
紛れもなくこの人達のおかげだ。
どうすればこの想いを返せるだろうか。



私が出来るのは
私の育てた花達で皆を癒す事。
皆が練習に打ち込めるように環境を整える事。





明日から、また頑張ろう。
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