*season 7* fin
「んっ……はぁっ……お……ちさっ……。」
越知さんと唇が触れて
すぐに食いつく様なキスに変わる。
彼の胸に抱かれながら、唇を重ねる。
一瞬何が起こっているのかを理解出来ずにいた。
「はっ……越知さっ……んぁっ……苦しっ……。」
「っ……瑞稀っ……。」
越知さんはしつこく舌を絡める。
上顎をなぞり、口内の形を丁寧に確かめる。
前髪の隙間からは彼の瞳が私を捉え
濃艶な視線が向けられる。
苦しいと訴えても
越知さんは離そうとしない。
ゾクゾクと、身体中に電気が走る。
まるで毒に犯された様な感覚だ。
「んっ……越知さんっ……。」
「瑞稀…。」
「はぁっ……苦しくて、死んじゃいます……。」
「すまない…調子に乗り過ぎたな。」
「っ……。」
「瑞稀、どうした。」
「凄く……恥ずかしくてっ……。」
「……ふっ、そうか。」
柔らかい笑顔で
私の頬をゆっくりと撫でる。
越知さんの唇の…舌の感覚が
未だに消えずに残る。
今、私の顔は
赤く色付いているのだろう。
燃えているのではないかと錯覚する程に
頬が熱を帯びている。
「瑞稀。」
「はい…。」
「今後は、我慢しない。」
「え?我慢、ですか?」
「会いたい時は会いに行く、今の様に…お前に触れたい時は触れる。」
「あっ……。」
「すまないが、俺は独占欲の強い男だ。お前を誰かにくれてやる気は毛頭ない。」
「越知さん……。」
「そんな俺でも、傍にいる事を許してくれるだろうか。」
指に落とされる口付け。
零れ落ちる涙。
胸に温かいものが込み上げる。
そっか。
私、嬉しいんだ。
越知さんが
私を想っていてくれた事が
凄く、嬉しかったんだ。
「っ……。」
「……瑞稀?」
「こんな私の傍にっ……いてくれますかっ?」
「無論だ。」
「ありがとうっ……。」
ギュッ
「誰かを想うと言う事は……これ程までに幸福な事なのだな。」
「ふぇっ……。」
「もう泣くな、笑顔を見せてくれ。」
「っ……はいっ……。」
誰かをこんなに大切に想う。
それがどんなに幸せな事か知らなかった。
一人でいる事が
誰にも関わらない事が楽だと思った。
でもそれは、決して幸せな事では無い。
それを教えてくれたのはこの人だった。
私は紛れもなく幸せ者だ。