*season 7* fin
あれから何日か経った。
あの日以降
越知さんは私を避けている。
勿論、目が合うことも無い。
会っても最低限の挨拶だけで
越知さんはすぐにいなくなってしまう。
越知さんの変化の理由がわからない。
ただ、心にはぽっかり穴が空いたような
埋めようのない寂寥感で満ちている。
「はぁ………。」
「月ちゃん、お疲れさん!」
「あ、毛利さん……お疲れ様です。」
「ん?元気ないやん。」
「……。」
「月ちゃん?」
「あ、いえ!何でもないです。」
「……全く、月ちゃん嘘が下手やね。」
「え…?」
「どないしたん?」
越知さんのパートナーの毛利さんだったら
この状況の打開策を教えてくれるかもしれない。
このまま訳もわからないまま
仲違いみたいな事になるのは嫌だ。
そんなの悲しすぎるから。
「毛利さん…あの……。」
「聞いたるから、話してみ?」
「……あの日から、越知さんに避けられてて。」
「月さんが、月ちゃんをか?」
「はい…毛利さん達には普段通りですか?」
「俺は特に何も思わへんかったけど…。」
「そっか…。」
「何でそう思うん?」
「目が合わないし、会っても簡単な挨拶しか無くて……。」
「あの月さんが、月ちゃんにねぇ……。」
「私が、何か気に触る事をしたんでしょうか。」
「思い当たる事は何もないん?」
「思い当たる事……?」
私にはわからないけど
あの日の夜あった事を毛利さんに話した。
あの日の夜
一緒に花壇まで行ってくれた事。
泣きそうだった私を抱き締めてくれた事。
思い出す程、越知さんの温もりが恋しくなる。
思い出したところで
心の虚無感は消えない。
「…月ちゃん。」
「はい。」
「ちゃんと月さんと、話しんさい。」
「え…?」
「原因はわかったんやけど、これは二人で話さないとダメや思う。」
「原因、わかったんですか?」
「あぁ。ほんま自分ら、不器用やなぁ。」
「毛利さん…?」
「なぁ、月ちゃん。」
「はい。」
「月さんの事、どう思う。」
「どうって…越知さんは……。」
いつも冷静で
人と馴れ合うことを嫌ってて…。
だけど凄く優しくて温かくて
怖い時、いつもそばにいてくれて
一緒にいてくれる事が嬉しくて……。
傍にいてくれない事が
こんなに寂しいなんて思わなかった…。
「私っ……。」
「うん、その気持ちが答えやと思うで。」
「っ……毛利さん、ありがとうございます!」
「俺も月ちゃんが笑っとると嬉しいわ!」
ありがとう、毛利さん。
越知さんに会いに行こう。