*season 7* fin


「ほんま、珍しいもん見せて貰ったわ。」


「珍しい?」


「ツッキーはな、ホンマは情に厚い奴なんやけど普段はそれを人に見せへんねん。」


「むしろ、他人に興味がなくていつもクールなんだよ。会話さえいつも最低限だ。」




確かに越知さんてあまり前に出て
誰かと関わるタイプじゃ無いけど
あの程度の会話位はするんじゃないのかな。


君島さんも同じような事言ってたけど
どういう事なんだろう。




「だけど、皆さんとだって普通に会話しますよね。」


「テニスに関係した話はするけど、あんな風にくだけたツッキーやあらへんよ。」


「あれって、くだけてるんですか?」


「あたりめーだ。普段関わってる俺らからしたら、雲泥の差だし。」


「月ちゃん、良ぇ仕事するやん。な、竜次?」


「ああ、今後が楽しみだし。」





私のわからない話で盛り上がる
種ヶ島さんと大曲さん。


さっきの越知さんは
普段より柔らかな越知さんだったらしい。
いつもの越知さんを知らない私には、ピンと来ない。





でも、わかるのは
越知さんは優しくて律儀な人だって事。


あの人は
たった一個、ボールを拾ったくらいで
わざわざお礼をしに来てくれた。

それに、日本代表クラスになれば
ボール拾い位スタッフの人がやるのに
越知さんはボール一個拾うために
あんな草だらけの場所に足を踏み入れた。



それは多分
自分で飛ばしてしまったボールだからと
責任感を持っての行動だと思う。





「そういや、お前さん大丈夫かい。」


「え?」


「ツッキーのあれ、諸に受けたんやろ?」


「あれって何ですか?」


「これだよ、これ。」


「目、ですか?」


「そそ、諸に見とったやろ。」


「見ましたけど、それが何か…。」


「何かって……お前さん、何も感じなかったのかよ。」


「越知さんにも同じ事聞かれましたけど、綺麗な瞳だなと思いました。」


「…………あかん、竜次。俺惚れてまう。」


「勘弁しろし……。」





越知さんと同じ質問されたけど
何がそんなに不思議なんだろ。


もしかして越知さんは
目に何かコンプレックスを持ってるのかな。
私にはそれが何なのかわからないけど…。





「ほんま、月ちゃんのお陰でツッキーの新しい一面が見れそうや。」


「てか、俺らでさえ多少影響うけるっつーのに…一体どうなってんだよ。」


「影響?」


「その意味はツッキー本人から聞き?」


「だな、これ以上は野暮ってもんだ。」


「はぁ……。」


「ツッキーをよろしゅうな。」


「俺らは戻るわ、じゃーな。」






そう言って
種ヶ島さん達は行ってしまった。





色々気になるけど
とりあえず仕事に集中しなくちゃ…。
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