*season 7* fin


「では、練習に戻る。」


「あ、あのっ……。」


「ん?どうした。」





今朝の事、ちゃんと謝らないと…。





「今朝の事、すいませんでした。」


「今朝の事?」


「私が変な質問したから、越知さん怒ってましたよね…。」


「………。」


「私何も知らないのに、馴れ馴れしくしてすいませんでした…以後、気を付けます。」


「……いや、俺こそすまなかった。」


「え……?」


「少しばかり、きつい言い方をしてしまった。」


「そんな事ないです!私が悪かったので…。」


「……。」







少しの沈黙。


すると越知さんは
何も言わずに自身の前髪を掻き上げた。





今まで見えなかった
越知さんの両方の瞳が私を捉える。
鋭くて野生的な瞳だけど、どこか儚げで
私は彼に釘付けになった。




綺麗な瞳……。







「……。」


「あの、越知さん……?」


「……これを見て、何も思わないか。」


「え、えっと…綺麗な瞳だなとは思いますけど……。」


「…………。」




目を見開いて
少し驚いた顔をする越知さん。


思った事を言っただけなんだけど
また変な事言っちゃったかな…。




「私、また失礼な事言っちゃいましたか…?」


「そうではない。」


「え…?」


「……今夜、時間はあるか。」


「は、はい…夕食後なら…。」


「そうか。ならば、19時にメインコートに来い。」


「え?」


「今朝の質問に答えよう。」


「え?でも、どうして…。」


「俺の目を見て、お前の様に言った奴は初めてだ。」


「そうなんですか……?」


「……お前は、純潔なのだな。」


「え…?」


「いや、気にするな…ではな。」





タタッ





「行っちゃった……。」





怒ってる訳じゃないのかな…。




”これを見て、何も思わないか”

あの言葉は
一体どういう意味なんだろう。



越知さんが前髪を掻き上げた時
鋭い目付きをしていたんだけど
ほんの少しだけ、寂しいそうというか
諦めた様な目をしていた気がする…。



私は素敵って
純粋に思ったんだけどな。





「なぁ、竜次。珍しいもん見たなぁ。」


「あぁ、あの越知が女相手に……珍しいどころの話じゃ無いし。」


「あ、あの……。」


「こんにちはー、お嬢さん。」


「悪いな。盗み見してた訳じゃなくてよ、たまたまな…。」


「あ、いえ!お気になさらないで下さい。」


「俺は種ヶ島修二、こっちは大曲竜次や。よろしゅうな!」


「お前は花屋の…瑞稀だったか?」


「はい、瑞稀 月です。よろしくお願いします。」







この二人も赤いユニフォーム着てる。
という事は、この人達も選手なんだ。



でも、珍しいって
何がそんなに珍しいんだろう。
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