*season 7* fin







朝食後
私は齋藤さんに頼まれた
食堂の外窓にネットを張るために
道具を準備をしていた。


というか
中にいた時は気に留めなかったけど
この窓、結構高さがある。
脚立持って来たけど私届くかな……。






「んーっ……だめだ、座ったままじゃ届かない。」






こういう時
男の人は羨ましいなって思う。

皆が皆、背が高い訳では無いけど
高い所の作業は女子よりは向いている。


どうしようかな…
脚立の上に立つのちょっと怖い。






鬼さんとか、誰かに頼む?






………だめだ。

これは私の仕事なんだから
私がちゃんとしなくちゃ。






「も、もう少しっ……あと少しっ……。」






ガタッ






「あっ!」






つま先立ちをしていたせいか
バランスを崩した脚立が後ろに倒れる。




このままじゃ、落ちるっ!






「瑞稀っ!」





パシッ





「っ………あれ……?」


「怪我はないか。」


「あ……越知さん……。」


「どうした、どこか痛めたのか。」






目を開けると
そこにいたのは越知さんだった。


少しの間
私は状況を理解出来ず
無言で越知さんの顔を見つめていた。






「……。」


「瑞稀、しっかりしろ。」


「……あっ、すいません!」


「大丈夫か。」


「は、はい…助けて下ってありがとうございます。」


「気にするな。」


「それで、あの……。」


「何だ。」





驚いて気付かなかったけど
私、お姫様抱っこされてる……。


越知さんは、落ちそうになったのを
咄嗟に助けてくれただけで
他意は無いと思うけど
この状況は凄く恥ずかしい…。






越知さんの顔が近い。

やっぱり瞳は隠れていて
その表情を見る事は出来ないけれど
不思議と視線が合うのがわかる。





「そ、そろそろ下ろして……下さい……。」


「……すまない。」


「ありがとうございます…。」


「この高さはお前では無理だ、無茶をするな。」


「でも、私の仕事だから……。」


「無理をして先程の様な事になったら、本末転倒だ。」


「……はい。」


「ランニングの最中で、お前に気付けたのが不幸中の幸いだった。」


「ご迷惑、お掛けしました。」


「…さして問題は無い。」







落ち込む私を見て
少しバツが悪そうに顔を逸らす。


今朝の事といい
私、越知さんに迷惑かけてばっかだ。
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