*season 7* fin
次の日の朝食。
朝の水やりをしていたら
少し時間に遅れてしまった。
食堂は既に選手の人達で溢れていた。
昨日も思ったけど
人が多くてやっぱり慣れない…。
どこか座る所ないかな。
出来れば窓際の一人掛けの所がいいな。
そもそも選手の人達と同じ場所で
食事をするのって失礼じゃないのかな。
「君、座るとこ無いならここどうぞ?」
「あ…よろしいんですか?」
「いいよね?鬼、徳川君。」
「俺は構いませんよ。」
「好きにしろ。」
「だって、とうぞ。」
「ありがとうございます。」
「君がコーチが言ってたお花屋さんだね。」
「瑞稀 月です、よろしくお願いします。」
「僕は入江奏多、こっちが鬼十字郎、それから徳川カズヤ君。僕と鬼は高校三年で徳川君は高校二年だよ。」
皆、高校生なんだ。
聞かなかったけど越知さんや毛利さん達も
きっと高校生なんだろうな。
入江さんと徳川さんはわかるけど
鬼さんに関しては貫禄が凄すぎる様な……。
「食堂にある花もお前が生けたのか?」
「はい。皆さんが少しでもリラックス出来るように、食堂にはダリアを飾らせて頂きました。」
「この花はダリアというのか。」
「色々な色があって綺麗だね。」
「ダリアは色も豊富ですし、初夏に開花した後に切り戻しておくと秋にまた綺麗な花を咲かせるんですよ。」
「男だらけのむさ苦しい空間が君のおかげで凄く華やかになったよ、ありがとう。」
「いえ、それが私の仕事ですので。」
「んー……あ、いたいた!」
「齋藤コーチ、おはようございます。」
「おはようございまーす、皆さん。」
確かこの人は
メンタルコーチの齋藤 至さん。
越知さんと同じ位身長高い。
間近に立たれると壁が立ってるみたいで
凄まじい圧迫感を覚える。
それとは裏腹に
どこか飄々としていて掴み所がない。
さすがメンタルコーチと言ったところだろうか。
「何か御用ですか。」
「そうそう、瑞稀さんにね。」
「私ですか?」
「食堂の窓にグリーンカーテンを作って欲しいんだけど、そういうのって出来たりするのかな。」
「もしかして、そこですか?」
「そうそう!そこだけ日が直当たりするから、誰も座りたがらなくてスペース勿体ないんだよねー。」
「そういえば、前に篤が座って眩し過ぎだー!ってキレてたよね。」
「時期的にもう間に合わないかな?」
「そこのなら、先日プランターに苗を植えておいたので大丈夫ですよ。」
「え!?本当に!?」
「はい、今日ネットを張ろうと思っていました。」
「ありがとー!本当に助かるよー!」
そう言うと
私の手を握り、顔を近づける。
ち、近い……。
嬉しいのか距離感がおかしい事になってる。