*season 7* fin
「ほらほら、こんな所で遊んでないで練習行きなよ。」
「そうやった。ほな、行こか。」
「瑞稀さん、また後で。」
「頑張ってね。」
三人は練習に戻って行った。
さてと
私も仕事に戻らないと。
今日はメインコート横の
雑草の処理をしなくちゃいけないんだよね。
草が伸びきってるから除草剤は使えないし
手作業でやって行くしかなさそうだ。
軍手をはめて
コート横の茂みに移動。
草は私の身長位の高さまで伸びている。
「うわ、凄い高さ……よし。」
気合いを入れて作業に取り掛かる。
手を止めずにやれば
今日中には終わらせられるはずだ。
そんなに範囲は広くないけど凄い量。
「よいしょっ……。」
「……誰かいるのか。」
「え?」
そこにいたのは
伸びた草よりも背の高い男性。
見上げると越知さんだった。
越知さんの顔が草むらからひょっこりと出る。
それが何だか可愛らしくて少し笑ってしまった。
それと同時にその身長の高さがあれば
こんな草なんて大した事ないんだろうと
ふと羨ましくなってしまう。
ところで、この人は
こんな草むらで何をしているんだろうか。
「瑞稀、と言ったか。」
「はい、お疲れ様です。越知さんはこんな所で何をしているんですか?」
「ボールがフェンスを越えて、こちらに入ってしまってな。」
「ボールが?だけど、草だらけで……。」
「あぁ、思い当たる所を探したが見つからない。」
「今から雑草処理をするので、私が探しておきます。」
「いいのか?」
「はい、任せて下さい。」
「すまない。よろしく頼む。」
越知さんはコートに戻って行った。
早速作業に取り掛かる。
草を抜き取りながらボールを探す。
抜いても抜いても減っている気がしない。
結局、作業が終わったのは
日が暮れかかった頃だった。
選手の人達も
練習が終わったのか室内に入って行く。
越智さんが探していたボールも発見。
コート整備をしていたスタッフの人に渡し
私自身も室内に入ってシャワーを浴びる事にした。