*season 7* fin








「ここをこうして……うん、良い感じかな。」






黄色の向日葵。
私が一番大好きな花。


そして
大好きだったお婆ちゃんが
一番好きだった花。



花は健気で純真で
手を掛けてあげればその分綺麗に咲く。
決して裏切らないし、欺いたりしない。



だから私は花が、植物が好き。






「よし、そろそろ外に……。」






ドンッ






「きゃっ……あっ、ごめんなさい!」


「さして、問題は無い。」






そこにいたのは
見上げなければ顔が見えない程身長が高くて
白に青色の差し色が入った髪の男の人。



髪で瞳が隠れていて
その表情を読み取る事が出来ない。






「濡れませんでしたかっ?」


「あぁ。」


「君、始めて見る顔やんな?」


「あ…今日からこの施設の環境整備を担当します、瑞稀 月(みずき ゆえ)です。よろしくお願いします。」


「月ちゃん言うんや!よろしゅうな!てか、月さんと同じやね!」


「月さん?」


「この人、越知 月光いうんよ。皆からは月さんて呼ばれてるんや。」


「そうなんですね。」


「ちなみに、俺は毛利寿三郎。よろしゅうな!」


「こちらこそ、よろしくお願いします。」




毛利さんも身長が高くて
見上げる感じになっちゃうな。


ここは
U-17テニス日本代表と
その候補が集まる合宿所。
この二人もその選手なのかな。




「毛利、そろそろ行くぞ。」


「あ、すんません!月ちゃん、またな!」






そう言って手を振り
越知さんを追いかけた。





毛利さんは関西人なのかな。
明るくて話をするのが上手みたい。



でも、越知さんは
あまり他人に興味を示さない。
瞳が見えないから余計にどういう人かわからない。






私も一人が好きだから、その方が楽だ。
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