*season 6* fin






次の日の午後連。


私はいつも通り
仕事をこなしていた。


今日も相変わらず
ドリンクをぶちまけたり
記録ミス、転んで怪我したり…。





「お前という奴は!仕事を増やすなと何度言ったらわかるんだ!」


「わ、私だって好きでミスしてる訳じゃっ!」


「真田、花梨のはいつもの事じゃろ。」


「仁王、お前や柳や茉夏が甘やかすから変わらんのだ!」


「だって、花梨ちゃん可愛いんだもん。」


「茉夏先輩、大好き!」




真田先輩め
付き合ったんだから
少し位優しくしてくれてもいいじゃない。



本当に頑固親父なんだから。




「花梨、お前には集中力というものが足りんのだ。」


「……べーっだ!」


「き、貴様ぁ……。」


「……ん?真田、いつから花梨の事名前で呼ぶようになったんだよ。」


「ぶ、ブン太先輩!?」


「確かに…何か怪しいっすね。」


「怪しいも何も、俺達は公明正大に付きっ……。」


「真田先輩っ!?ちょっとこっち来て下さいっ!」


「こ、こら!引っ張るなっ!」


「あー!逃げたっ!」






私は先輩の手を引っ張って
部室裏に避難。


急にバラそうとするから
ヒヤッとした……。

別に知られても良いんだけど
心の準備が出来てないし。






「はぁっ……。」


「おい、何故逃げるんだ。」


「だ、だって!急に真田先輩がバラそうとするから…。」


「別にいいだろう。」


「私にだって心の準備が必要なんですっ……。」


「そういうものなのか。」


「と、というか……。」





隠れなきゃと思って
こんな狭いとこに隠れたから
真田先輩と凄く近い……。





「……花梨。」


「ひゃっ……耳元で喋らないでっ……。」


「ふっ、お前はすぐに赤くなるな。」


「もうっ……。」




先輩は優しく微笑んで
私の方頬を撫でる。


その手は私の顎を持ち上げ
そのままキスをした。


最初は軽く
唇が重なっては離れを繰り返し
徐々に深く、濃くなっていく。





「んぁっ……ふっ……ぁっ……せんっ……ぱっ……。」


「お前は、可愛いな。」


「先輩っ……?」


「好きだ、花梨。」


「っ……私も大好きです……。」





再び先輩の顔が近づく。





唇が重なろうとした時………。






「弦一郎がセクハラしてる。」


「っ!?茉夏!?」


「ほぅ、そういう事でしたか。」


「柳生先輩!み、皆もっ……。」


「俺達は邪魔の様だ、練習に戻ろう。」


「そうっすねー、バカップルはご自由にー!」


「赤也!貴様年上に対し馬鹿とはなんとる事か!!」


「そ、そこ!?何で俺だけ!」


「待たんかぁ!!」


「ひぇぇぇぇ!」




真田先輩は赤也君を
追いかけて走って行った。


あの二人も相変わらずだな。
生意気な生徒と先生みたい。




「花梨ちゃん、良かったね。」


「え?」


「弦一郎の事、ずっと好きだったもんね。」


「な、なんでそれ……。」


「お前ら見てたらわかるだろぃ?」


「だな。」


「う……。」


「羽月。」


「柳先輩?」


「弦一郎を、よろしく頼む。」


「……こちらこそです!」


「ふふっ、私達も行こ!」


「じゃな、早く行かんと真田に赤也が殺されかねん。」


「ですね!」





先輩と想いが通じたこの夏。


大好きなテニス部の皆と
過ごしたこの時間は
かけがえのない思い出。






大好きだよ、真田先輩。






―完―
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