*season 6* fin
「茉夏先輩の教室は……。」
「ふざけんじゃないわよっ!」
「あっ…あそこの教室からだ!」
私が教室に着くと
茉夏先輩を何人かの先輩達が囲んでいる。
やっぱり
私の嫌な予感は当たってたんだ。
「いい加減、部活行きたいんだけど。」
「クラスの男子も誑かして、部活でも男ばっかで…本当に尻軽よね。」
「テニス部の人達も、こんな子に誑かされて大した事無いのね。」
「……私の事馬鹿にするのは別にいい。でも、皆の事を馬鹿にするのは絶対に許さない。」
茉夏先輩カッコよすぎっ……。
私だったらあそこで泣いて終わりだな。
茉夏先輩は美人で、優しくて、強くて…。
やっぱり、私の憧れの先輩。
が、今窮地に立たされている……。
どうしようっ……。
「あんたさぁ、マジで…生意気なんだよっ!」
「あっ、だめぇぇぇぇ!」
「花梨ちゃん!?」
パジャッ
「あ、あんたっ……。」
「花梨ちゃんっ!」
先輩達が茉夏先輩に
ペットボトルの水をかけようとした所を
間一髪回避………したけども。
「冷たい……。」
「花梨ちゃん大丈夫!?あなた達っ…。」
「しゃしゃり出て来たのはそっちでしょ!?」
「私の大好きな…茉夏先輩の事虐めたら、許さないっ!」
「なっ……。」
「茉夏先輩が綺麗で、可愛くて、優しくて、頭がいいからって……こんな事間違ってます!」
「何よっ……。」
「妬む暇があるなら、茉夏先輩みたいに努力して下さいっ!」
茉夏先輩は何でも器用にこなす。
でもそれは
陰で凄まじい努力をしてるから。
それを私は近くで見てきた。
だから
許せない。
そんな茉夏先輩を
妬みなんかで馬鹿にした事が……。
「もう二度と、茉夏先輩にこんな事しないでっ!」
「花梨ちゃん……。」
「っ………行こっ!」
「馬鹿みたいっ!」
タタッ
「まったく…茉夏先輩、大丈夫ですか?」
「大丈夫ですかって、花梨ちゃんの方がだよっ!」
「え?あ、私は別に濡れただけです!茉夏先輩が濡れなくて良かったです!」
「花梨、ちゃん……っ………。」
「茉夏先輩……。」
茉夏先輩は私に抱きついて
涙を流した。
先輩、一人で耐えてたんだ。
いつも笑顔で
誰にも心配かけないように
ずっと一人で抱えてたんだ…。
それなのに
私は、自分の事ばかりで
全然気付いてあげられなかった。