*season 6* fin
結局
真田先輩に送って貰う事に。
先輩に送ってもらうのは
嬉しいんだけど………。
「真田先輩、歩くの早いです…。」
「む、すまん…。」
「真田先輩…。」
「ん?どうした、肩が痛むか?」
「いえ、そうじゃなくて…。」
「何だ、はっきり言え。」
「私、足怪我した訳じゃないから無理に送って貰わなくても……。」
「俺は決めた事を変える気は無い。」
「先輩……。」
「俺がもっと部員全員に気を配ってやれば、こんな事は…お前が怪我をする事など無かった筈だ。」
「そんな、真田先輩だけで部員全員を見るなんて無理です!」
「いや、精市なら部を一つに纏めあげただろう。」
「先輩…。」
普段は言わないけれど
真田先輩は幸村先輩に劣等感を持ってる。
テニスの技術にじゃない、人を纏める力に対してだ。
私は真田先輩だからこそ
今の立海大があると思ってる。
誰よりも自分に厳しく
いつも皆の模範になってきた。
それは決して簡単なことじゃない。
私はそんな真田先輩を尊敬してる。
そんな先輩だから、私は好きになった。
「……真田先輩。」
「何だ。」
「手、繋ぎたい…。」
「……何だと?」
「私、先輩と手が繋ぎたいですっ!」
「……お前、顔が赤いぞ。熱でもあるのか?」
「熱なんかじゃないですっ…先輩と手を繋ぎたいんですっ!」
「……。」
真田先輩は
私を不思議そうに見つめている。
何であんな事言ったのかわからないけど
真田先輩を励ましたかった。
自分だから必要とされるって気づいて欲しかった。
でも
恥ずかしくて死にそう…。
「だめ……ですか。」
「…いや、構わん。」
「あっ……。」
「ほら、繋ぐのだろう。」
「は、はい!」
「そんなに嬉しい事か、変な奴だ。」
「真田先輩程じゃないです!」
「何だと?」
「あっ、何でもないですっ!」
「ふっ、お前と言う奴は…。」
「先輩……笑った。 」
「ん?俺とて笑いはするぞ。」
「真田先輩が笑ってると、凄く嬉しいです。」
「……。」
「いつも険しい顔してるから、たまには肩の力抜いて下さい。」
「………羽月。」
真田先輩は優しく
私の頭を撫でた。
いつもみたいな険しい表情じゃなくて
すごく優しく、柔らかい表情をしてる。
こんな真田先輩初めて見た…。