*season 6* fin
「花梨、今の話は本当か?」
「……。」
「羽月の怪我の原因は、貴様らか。」
「……。」
「本当の事を言うんだ、羽月。」
やっぱり、聞かれてた……。
後ろにいる先輩達を
鋭い目付きで睨む仁王先輩。
いつにも増して
眉間にシワを寄せている真田先輩。
そして
諭す様な口調で
私に話しかける柳先輩。
「…俺達が話す。」
「先輩っ、でも……。」
「もとはと言えば、俺達がしでかした事だ。」
「……。」
「ほぅ、その心意気だけは認めてやる。」
「俺達は、お前らレギュラーに嫉妬して…お前らのユニフォームを切り刻んでやろうと思ったんだ。」
「貴様ら…。」
「そこに羽月が来て、ユニフォームの取り合いになって……。」
「その拍子に、花梨を突き飛ばしたんか。」
「あぁ…怪我なんか、させるつもりはなかった。ただ、あの時は頭に血が上って……。」
「………貴様ら、歯を食いしばれ。」
「えっ……?」
「こいつが痛い思いをしたのに、貴様らが無傷なのは不公平だろう?」
真田先輩
先輩達の事殴る気だっ…。
だめっ!
そんな事させちゃっ…!
私はそんな事させたかった訳じゃない。
皆に笑顔でいて欲しかっただけなのに。
「行くぞ!!」
「っ!」
「だめぇっ!!」
「むっ!?」
「羽月……。」
「まったく、無茶しよる。」
「そこをどけ、羽月。」
「嫌ですっ!私はこんな事させる為に、先輩達のユニフォームを守ったんじゃないっ!」
「む……。」
「こんな事で皆のモチベーションを下げたくなかった、だから黙ってたのにっ……どうしてっ…。」
「泣かんでいい、花梨。」
「……すまなかった。」
「っ……。」
「弦一郎、羽月がもういいと許したんだ。今回はその意見を尊重してやらないか。」
「……わかった。」
「真田……すまなかった。」
「次、何かした時は……覚悟しておけ。」
「あぁ…羽月も、悪かったな。」
先輩達は
部室を後にした。
良かった……。
もし、あそこで
真田先輩が先輩達を殴っていたら
きっと彼らはテニス部をやめて
二度とテニスには関わらなかったと思う。
そんなのって
悲しすぎるから…。