*season 6* fin
次の日の朝。
私は皆よりも早くコートに到着して
朝練の準備を始める。
私だって少しでも皆の役に立ちたい。
茉夏先輩みたいに出来ないから
私は人よりも努力しなくちゃ。
「よし、コート整備はこれで終わり……ん?」
なんか
部室の方から声が聞こえる?
まだ早いのに、誰だろ…。
「まだ誰も来てないみたいだな。」
「真田とレギュラーの奴ら、何様だよ。」
「毎日偉そうに威張りやがって、少し痛い目見せてやらないと気がすまねぇ。」
あれは
三年の先輩達……?
こんな時間に何やって……。
「ラケットのガットでも切っとくか?」
「ユニフォームの方が良いんじゃね。」
「何やってるんですかっ!!」
「っ!?な、何だ、羽月か。」
「先輩達、こんな時間に何やってるんですかっ!」
「お前には関係ないだろ、さっさと出ていけよ。」
「真田先輩達のユニフォーム、返して下さい!」
「ってめぇ!離せよっ!」
先輩達は
真田先輩や皆に嫌がらせしようとしてる。
全国大会の直前なのに
要らない騒ぎを起こさせたくない。
真田先輩達にはテニスの事だけ考えてほしいから。
「先輩達こそっ、離して下さいっ!」
「お前が離せよっ!」
「やだっ!先輩達だって受験も控えてるのにっ、こんな事しちゃだめですっ!」
「っ……良い子ぶってんじゃねぇ!」
ガシャンッ
「きゃあっ!」
先輩達は私を突き飛ばした。
私はポールが入っていた
鉄製の籠に肩を強打。
鈍い痛みが左肩に走る。
良かった……すごく痛いけど
先輩達のユニフォームは取り返せた。
「痛っ………。」
「お前が悪いんだからなっ!お前がしつこいからっ!」
「私…この事、誰にも言いません……。」
「えっ……?」
「真田先輩達に余計な負担かけたくないし、先輩達が毎日練習頑張ってるのも……知ってるから。」
「羽月………。」
「こんな事で、先輩達が頑張ってきた事を無駄にしないで下さいっ………。」
「っ………行くぞっ!」
タタッ
「っ……痛いっ……。」
もうすぐ皆が来る。
何とか乗り切らなきゃ……。