*season 6* fin
「赤也!もっと踏み込まんかぁ!!」
「うぉらっ!」
「赤也君、頑張って!」
ここは立海大附属中学校
男子テニス部のテニスコート。
そして私はマネージャーで
二年の羽月 花梨(はづき かりん)。
誰かの役に立つ事がしたくて
男子テニス部のマネージャーに志願したんだけど…。
「赤也君、お疲れ様!」
「はぁっ……真田副部長の鬼め……。」
「はい、これ!ドリンっ……きゃっ!」
「のぁ!?」
バシャッ
「あ……ご、ごめんねっ!」
「冷めてーっ!何すんだよ、花梨!」
「何を騒いでる。」
「聞いて下さいよっ、副部長!花梨の奴が俺にドリンクぶちまけやがったんです!」
「わ、わざとじゃっ!」
「またお前か、羽月。お前は注意力が足らんのだ。」
「ご、ごめんなさい……。」
そう。
私は超がつく程のドジで
ノートの記録を取り忘れたり
備品の発注数を間違えたり
さっきみたいにドリンクをまけちゃったり……。
いつも真田先輩に怒られています…。
「まぁまぁ、そんなに怒らないであげて?」
「茉夏先輩……。」
「ほら、赤也君。着替えとタオル持ってきたから、早く洗っておいで。」
「茉夏先輩、サンキュっす!お前も、少しは茉夏先輩見習えよな!」
「む―……。」
「すまんな、茉夏。いつも羽月のフォローをしてもらって。」
「可愛い花梨ちゃんの為だもの。」
この人はマネージャーで
三年の黒川 茉夏(くろかわ まなつ)。
美人で頭も良くて
凄く優しくて、私の憧れの先輩。
私がミスをするといつも助けてくれる。
部員からの信頼も厚い。
「羽月、お前も茉夏に助けてもらうばかりでは話にならんぞ!」
「わかってますよーだっ!」
「なっ、お前っ!」
「怒ってばっかりいる副部長なんて、大嫌い!」
「こらぁ!待たんかぁぁぁあ!!」
「ふふっ、あの二人相変わらずね。」
「相変わらず仲良しじゃの、あの二人は。」
「雅治、いたの?」
「あぁ、赤也がドリンク被ったあたりからの。」
大嫌いなんて嘘。
本当は大好き。
でも私は茉夏先輩みたいに
要領よく出来る人間じゃないから
きっと真田先輩に呆れられてる。
私だって先輩に褒めて欲しいのに………。