*season 5* fin


「なぁー……。」


「……。」


「千早ー。」


「…先輩、ここは図書室です。静かにして下さい。」


「だってよー……。」







私の咲良 千早(さくら ちはや)。
立海大附属中学校二年。


私は図書委員で
今は図書室で仕事中。




そしてこの人は
丸井ブン太先輩。


何故かいつも
私が担当の日に図書室に来る。





別に本を借りる訳でもなく
勉強する訳でもなく
意味もなく私の目の前に座る。





この人は
一体何をしに来てるんだろう。







「どうせこの時間は誰も来ないんだ、話する位いいだろぃ?」


「……先輩は、何しにここに来ているんですか。」


「だから、お前の顔を見に来てんだよ。」


「………意味がわからないです。」


「千早は俺といて退屈なのかよ。」


「先輩、さっきから話が噛み合ってないです。」






この人と出会ったのは
去年の冬だった。





私には好きな人がいて
バレンタインデーに告白しようとした。



けれど
その人にはもう彼女がいて
手に持っていたチョコレートは渡せなかった。






そのチョコレートを
ゴミ箱に捨てようとした、その時だった。
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