*いつまでも貴方と*
身よりのない私を
シグレが引き取ってくれたの。
だから
シグレに文句言うなんて
罰当たりなんだよね。
「好き、なんだけどな……。」
「へぇ、誰を?」
「えっとね……って、シグレ!?」
「何が好きだって?」
「な、何でもっ……。」
ドンッ
「きゃっ……!」
「お前、わかりやすいんだよなぁ。」
じわじわと距離を詰められて
気づけば私は壁に追いやられていた。
私の顔を覗き込みながら
ニヤニヤするシグレ。
本当
意地悪だ……。
「で?”誰”が、好きだって?」
「っ…私が好きなのはっ……苺大福だよっ!」
「!」
「っ……。」
「あっははははは!」
「な、何よ!」
「お前、本当に素直じゃねぇな。」
素直に、慣れないんだよ。
本当は今だって抱きつきたいよ。
でも
私はシグレに拾って貰った身。
そんなわがまま言えないよ…。
「お前がいいなら、別にいいけどな。」
「えっ…。」
「じゃあ、俺は見回りでも行ってくるか。」
「……。」
「じゃあな。」
待って。
行かないで……。
行かないでよ……。
「行かないでっ……。」
「ん?」
「シグレ…行かないで…。」
「ヒヨリ?」
「私、シグレと一緒にいたいっ…もっと構ってほしい…。」
「……。」
「な、なんか言ってよ…。」
「くくっ…。」
シグレは笑うのを堪えて
体を震わせている。
こっちは勇気振り絞って
気持ち伝えたのに…。