*聖女の加護*


甲板に出た私は

木箱が積み重なった一角に

腰を下ろした。




月がとても綺麗で

月を反射した海面は幻想的だった。





「っ………貧血かな……。」



サァァァ




「波が、穏やかだな……。」


「おい。」


「……アイゼン?」


「大丈夫か。」


「……私は大丈夫だから、戻って。」


「その顔色のどこが大丈夫だ。」


「大丈夫だってば………きゃっ………!」


「少し黙っていろ。」





アイゼンに

お姫様抱っこされてる……?





「アイゼンっ…お、下ろしてっ…。」


「下ろしてどうする。1人で歩けるのか。」


「それは……。」


「大人しく抱かれてろ。」






人の気も知らないで…。


傍に行きたいのに突き放して

離れたい時に近づいてきて……。





ずるいよ…。
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