*この想い、届け*



私はその夜

ベンウィックに許可をもらって

キッチンでバレンタイン用のお菓子を作っていた。




アイゼンもロクロウも

変な期待してなきゃいんだけど……。





「……よし!出来た!」



ラッピングも良い感じ!

誰かの為に一生懸命になれるって

凄く凄く幸せな事だよね。



「よし、ここに隠してっと……。」




カチャ




「水ぅ……。」


「あれ、ロクロウ?どうしたの?」


「お、リノ〜!」


「わっ!急に抱きつかないで!」


「俺の可愛いリノ〜!」



お酒くさ……もしかして酔ってる?



「ちょ、ちょっと!ロクロウしっかりして!」


「お前の髪、サラサラしてて良い匂いがする。」




そう言うと彼は

私の首元へ唇を滑らせた。


急な出来事に

私は身を捩って抵抗する。




「ロっ、ロクロっ…だめっ…。」


「好きだぜ、リノ……。」





バァァン





「きゃあっ!」


「…何をしている。」


「ア、アイゼン!急にドア開けないでよ!
心臓飛び出るかと…。」


「全くだ、良いとこだったのによぉ。」



アイゼン

……キレてる!?


あの目はキレてる!!

な、何で!?



「ロクロウ、貴様水を飲みに行くと言って」
リノに何してやがる。」


「何って、リノを食おうと…。」


「ア、アイゼン!私何もされてないから!!
大丈夫だから怒らないで!」


「……リノに免じて、今回は許してやる。」


「ありがとう、アイゼン!…って、何で私が
謝ってるのよ!」


「すまん、俺寝るわ…じゃーなー。」



ロクロウ

足おぼつかないけど

大丈夫なのかな……。



「リノ。」


「あ、助けてくれてありがっ……んっ…!」



お礼を言おうとするのを

アイゼンはキスで遮った。



………………キス!?



「ア、アイゼンっ……?」


「お前への気持ちは、あいつには負けん。」


「っ……。」


「明日、楽しみにしている。」


「う、うん……。」


「お前も早く寝ろ。」





そういうと

アイゼンは出て行った。



………もうっ!

心臓がいくつあっても

足らないよぅ。
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