~叶わない願い~







「はぁ……。」






射的で盛り上がってる皆の背中は

妙に輝かしくて

凄く羨ましかった……。








「奏ちゃん。」


「あ、美咲さん……。」


「大丈夫?」


「あ、はい……お気遣いありがとうございます。」







わざわざ来てくれたの……?






「奏ちゃんてさ…。」


「え…?」


「おついちの事、好きなの?」


「っ!!」


「あら、図星?」


「そ、そんな事……。」


「私ね、夫と離婚するの。」


「え………?」


「あの人、浮気してたの。」






離婚……?

もし美咲さんが離婚したら……。






「奏ちゃん、私とおついちの事知ってるんでしょ?」


「………。」


「ごめんね、おついちは渡さないから。」


「えっ……?」


「私、離れててもずっとおついちの事想ってた。
あなたよりずっと長い時間。」


「っ……。」


「私、おついちの事愛してるから。」


「っ!」
















気付けば

私は走り出していた。






聞きたくない。

そんな事聞きたくない。








嫌だ。

おついちさんを取らないでっ……。
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