~再会~
何だか
夕立が来そうな空……。
段々日も落ちてきてるのに
まだこんなに人がいるんだね。
歩いていると
見知らぬ男性達に声をかけられた。
「かーのじょ!」
「え……?」
「一人で何してるのー?」
「友達がいるので戻るところです。」
ナンパ?
面倒くさいな……。
「俺達と遊ぼうよ!」
「やっ、触らないで!」
「あはは!かーわい!」
やば……
力じゃ敵わないっ……。
「やだっ!離してっ!」
「おい。」
「あー?誰だてめぇ。」
「おついちさっ…。」
「その子に触るな。」
いつもより声が低くて
凄い威圧感……。
おついちさん
どうしたの………?
「……ちっ、男いんのかよ。」
「行こーぜ。」
おついちさんの威圧感に負けたのか
やけに素直に帰っていった。
「あの……ごめんなさい……。」
「何でいつも一人でいなくなるんだよ。」
「……。」
「俺が来なかったらどうしてたわけ?」
「ごめん、なさい……。」
「そんなんじゃ、守りきれなくなる…。」
なにそれ。
本気で私と
向き合う気なんて無いくせに。
今まで構いたい時に構ってたくせに
美咲さんが現れた途端に
私なんか眼中になかったじゃない。
「……くせに。」
「……奏?」
「本当はっ……私の事なんか、どうでもいいくせに
っ!」
「なっ……。」
「美咲さんと会ってから私の事頭にあったっ!?」
「………。」
「今まで私に優しくしたのはっ、私が美咲さんに
似てたからでしょっ!?」
「美咲の事、弟者に聞いたのか……?」
酷い事言ってるって
おついちさんを困らせてる事
分かってる。
わかってるけど
吐き出さないと
どうかしそうで……。
「雨だ……とりあえず帰るぞ。」
パシッ
「やだっ…。」
「ガキみたいな事言ってんな!手でも繋いでなきゃ
すぐに居なくなるだろうがっ!」
「一人で帰れるもんっ!」
「っ……勝手にしろっ!」
そう言って
おついちさんは
歩き出した。
雨が降ってきたから
走って帰れば良いのに
私が彼の背中を見失わないように
気遣って歩いてくれてるんだ。
突き放すなら
突き放してくれた方が
楽なのに………。