~温もり~







「奏!こっちにおいでっ!」





お母…さん…?





「はははっ!奏は可愛いな!」





お父…さん?





「「奏、私達の可愛い子。」」







「大丈夫!?」


「っ………。」







急に明るくなる視界に
目がまともに開けられない。


ここは………。



横たわる私を覗き込むのは
綺麗な翠色の髪をしたあの人だ。




「あの…。」


「ごめんね。何か凄い泣いてたから。」


「あ……。」




私泣いてたんだ。

もう何年も泣いた事なかったのに。

お母さんとお父さんの夢見て泣いたんだ。




「驚かせてごめんなさい。」


「いや、急に起こしてごめんね。」


「あの、ここは…。」


「ここは俺の家。というか仕事場?」


「仕事場?」


「君の家に送ろうと思ったんだけどね。
急に気を失っちゃったからここに運んだの。」


「そうだったんですね…ご迷惑をおかけしました。」



悪い事しちゃったな。


でも

見ず知らずの私に

ここまでしてくれるなんて

本当に優しい人。



「迷惑なんかじゃないよ。そもそも俺が君に
水を引っ掛けたんだし。」


「そう言えば、私…。」



なんかぶかぶかのTシャツ着てるけど…。



「どうやって着替え…。」


「待った!俺は何もしてないから!」


「え?」


「さすがにあのままだと風邪引くからさ。
女友達に来て貰って着替えさせて貰った。」



そういって頬を赤く染める。

何か

可愛い人。
1/3ページ
スキ