~再会~


「旦那、浮気してたの。」


「浮気……。」


「こっちはさ、仕方なく結婚したのに…何か凄く惨め
だよね。」


「美咲…。」


「慰謝料ぶんどって、わかれてやるの!」






美咲のこの笑顔。

無理してる時の笑顔だって

俺は知ってる。





「無理して、笑うなよ。」


「っ………ごめっ………。」


「美咲、お帰り。」


「弟者っ……。」


「昔から、強がる癖は治んねぇのな。」


「兄者っ…ごめんねっ……。」




この感じ

すげー懐かしい。


歳は取ったけど

あの頃に戻った感じだ。




「あー!美咲さん泣かせてる!」


「げ、面倒なタイミングで面倒な奴が帰って来た。」


「このやろ!おついち!」


「飲みもんサンキュー!」


「あ、そういえば…。」


「ん?」


「奏ちゃんどこ行ったんすかぁ?」


「奏ならテントで休んで……あれ?」





テントの方に目をやると

奏の姿はない。



あいつ

また一人でっ……。





「あの子なら……。」


「美咲?」


「さっきちらっと見た時、子供抱っこしながら
どこかに歩いて行ったわよ。」


「もしかして、迷子かなんかを……。」


「奏……自分が迷子になるくせにっ!」


「あっ、おついちさん!」


「俺達も行くぞ。」





タタッ





「美咲さんは俺らとテントで待ってましょ!」


「うん…奏ちゃんてさ…。」


「はい?」


「おついちの何?」


「何と言われても……大切な人的な?」


「大切な人…?」


「俺らもよく知らないけど、奏ちゃんの傍には
いつもおついちさんがいるから。」


「へー………。」










そういえば

今日美咲と会ってから

奏の顔

まともに見てなかった気がする。
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