~出会い~
「大丈夫ですか!?」
そう言って
声をかけてきたのは
スーツを来ていて
身長の高いスラッとしている男性。
被った雨水のせいで
視界が定まらない。
「すいませんっ、俺水溜まってるの気づかなくて!」
あの車の運転手の人か。
こんな大雨の中
傘もささずに降りて来て
風邪でも引いたらどうするんだろ。
「あの、風邪引きますよ。」
「え?いやいや、俺より貴女の方が風邪引きます!」
「私なら大丈夫ですよ。こういうの慣れてるし。」
「慣れてるわけないでしょ!家まで送ってくから乗って!」
綺麗な髪の色。
透き通った綺麗な翠色。
それに凄く綺麗な瞳。
輝いていて
曇りひとつない。
羨ましいな。
私はいつも自分に蓋をして
当たり障りなく
ここまで生きてきた。
私に
こんな瞳を輝かせた時が
一瞬でもあっただろうか。
そんな事を思いながら
私は意識を手放した。