~失いたくない~
「…なるほどねぇ。」
「つまりは、迷子だったって事?」
「お恥ずかしながら……。」
「でも、奏ちゃんが無事で良かった!」
「本当に、ご迷惑おかけしました…。」
笑顔で励ましてくれる弟者さん。
頭をかきながらホットした顔をする兄者さん。
そして
私の目をまっすぐ見て
不安そうな顔をするおついちさん。
「頼むから、もう…1人で居なくならないで。」
「…はい、ごめんなさい。」
グゥゥゥゥ
「あ…。」
「弟者、おめーは腹ん中に獣でも飼ってんのか。」
「安心したら…更に腹減って…死ぬ…。」
「あっ、ご飯…食材傷んじゃって…。」
「ピザでもとるか!」
「兄者って、ピザの事になると嬉しそうだよな。」
「ピザは俺の恋人だから。」
「兄者さんは、ピザがお好きなんですね。」
「よく聞いてくれた。ピザはなぁ…。」
「奏ちゃん!ダメダメ!」
「え?」
「兄者にピザの事語らせたら、明日になっちゃうから。」
「そ、そんなに!?」
「早くピザ頼も!」
「まだ話は…。」
「兄者はしつこいっての!」
「お酒も買って来ましたけど…。」
「気が利くじゃねぇか。」
その後
日付が変わるまで
お酒を飲んだりピザを食べたり
賑やかに過ごした。