~ひとつ屋根の下~




朝ご飯と言っても

彼らの嗜好を全く知らない。



とりあえず

当たり障りない物を作ろうかな。





バァァァン





「奏っ!」






急に開いた

リビングの扉。


そこにいたのは

おついちさん。





「おついち、さん?」


「はぁっ…良かったっ…。」


「どうしたんですか…?」


「いや…起きたら、いなかったから。」


「あ、ごめんなさい。ご飯作ろうと思っ…。」




言い終わらない内に

抱き寄せられた。


彼の腕の中は心地良い。

普通ならドキドキしたり

ときめいたりするんだろう。


だけど

ちょっと違う。


安心する。

その言葉が一番しっくりくる。



「おついちさん……。」


「ん…?」


「あのね…さっきから…。」


「…何?」


「弟者さん達、見てます…。」


「え?」


「朝から盛ってんねー、おついちさん。」


「弟者!いつからそこに!」


「朝から盛ってる暇あったら仕事してくれ。」


「兄者さん、おはようございます。」


「おう。」


「お台所借りますね。」


「何!奏ちゃんご飯作ってくれるの!?」


「大した物は作れませんけど…。」


「最近忙しくて、買い食い多かったから助かる。」




そんなに忙しいんだ。

おついちさん達って

何のお仕事してるんだろう。
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