~初めまして~
「私…9歳の時に、両親を事故で亡くしてるんです。 」
「え…。」
「泣いたらダメだって…泣いたら、もう…
立ち直れなくなるって……。」
「……。」
「そしたら、どうやって泣いたらいいか…
どうやって気持ちを、伝えたらいいか…。」
「奏ちゃん…。」
「でも、そうしたら…。」
自分の親が死んだのに泣きもしない
子供気のない子だって。
可愛くないって。
「友達にも…家族いないから…一人ぼっちだって。」
そう言って
自分達と違う私を
排除したんだ。
「大人になってからは…ちゃんとしようって……
頑張った…はずだったんだけど…。」
仕事を頑張って
色々な事を任される様になった。
でも
それが気に食わなかった同僚に
根も葉もない噂を流されてクビに。
「恋人にも…都合の良い女だってっ…。」
初めて好きになった人だった。
嫌われないように
捨てられないように
いつも聞き分けよくしてた。
「全部っ……無くなっちゃったっ……。」
「…話してくれて、ありがとう。」
おついちさんが私を抱きしめる。
優しくて暖かくて
お母さんみたいな
お父さんみたいな
とても安心する腕。