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ほどける夢 (2025/03/16)
2025/03/16 10:49舟を漕ぎ出したはずなのに、どこへ向かっているのか分からない。
ひとつ、またひとつ、積み重なっていく焦燥が喉の奥に滞る。どうすればいいのか。果たして正解はあるのか。
それでも、舟は進んでいた。波は穏やかで、風はやわらかい。
いつの間にやら握っていた櫂は手の中から消えていた。けれども、不思議と焦りはなかった。
向かう先には、なにがあるのだろう。
そんなことを考えたとき、舟の進む先に、ゆらゆらとした光が見えた。淡く、優しく、手を伸ばせば、それはとろりと溶けてしまった。
ひと息つくように、再び舟の揺れに身をまかせる。
身体の輪郭がほどけて、波の間に落ちていく。
……かすかな音がした。
胸の奥から、澱みがこぼれる。
瞼の裏に残っていた仄かな光が、ふっと途切れる。
ハッとして目を開けた。
重たい空気と、揺れない地面。舟も、波も、風もなくなって、あの穏やかさは跡形もない。
指先に触れたのは、ひどく冷たい空気だけだった。
眠る前に抱えていた不安は、いっそう底まで沈み込んでいた。
静かなまどろみの終わりに、私はふうっと、ため息をついた。
そうして、手のひらをぎゅっと握りしめる。
ひとつ、またひとつ、積み重なっていく焦燥が喉の奥に滞る。どうすればいいのか。果たして正解はあるのか。
それでも、舟は進んでいた。波は穏やかで、風はやわらかい。
いつの間にやら握っていた櫂は手の中から消えていた。けれども、不思議と焦りはなかった。
向かう先には、なにがあるのだろう。
そんなことを考えたとき、舟の進む先に、ゆらゆらとした光が見えた。淡く、優しく、手を伸ばせば、それはとろりと溶けてしまった。
ひと息つくように、再び舟の揺れに身をまかせる。
身体の輪郭がほどけて、波の間に落ちていく。
……かすかな音がした。
胸の奥から、澱みがこぼれる。
瞼の裏に残っていた仄かな光が、ふっと途切れる。
ハッとして目を開けた。
重たい空気と、揺れない地面。舟も、波も、風もなくなって、あの穏やかさは跡形もない。
指先に触れたのは、ひどく冷たい空気だけだった。
眠る前に抱えていた不安は、いっそう底まで沈み込んでいた。
静かなまどろみの終わりに、私はふうっと、ため息をついた。
そうして、手のひらをぎゅっと握りしめる。