行き止まりの道に音楽は鳴らない

──これは私が、一番ましなバッドエンドにたどり着こうとする話。

清葉(きよは)は、有名なピアノ教師を母に持つ高校生。
将来は母の跡を継ぐことを期待されている。
けれど、清葉には母ほどの才能がなく、ピアノを続けることに限界を感じていた。
母の期待、大好きな先生の好意、そして「ピアノを弾いている私」というアイデンティティーを失うのが怖い清葉はずるずると弾くことをやめないでいた。
しかし、そんな惰性的な日々もやがて終わりの時を迎え、選択を迫られる。

2021/04 発行の新刊再録です。
有名なピアノ講師である母親から私は逃げ出そうとしている。弾いてみたい憧れの曲があった。私にそんな瞬間があっただろうか。いや。あったのかもしれない。もう思い出せないだけでーー

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