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asnotes

盗賊「一人は銃弾を見切れるやつだ!もう一人は大人を軽々と投げてくる怪力女だ!剣を使って距離を取りながら戦え!!」

アスノーツとトゥムルを盗賊達は四方を遮る形で囲んだ。
とっさの盗賊の行動に二人は背中合わせになり死角をなくし攻撃をできる態勢になった。

トゥムル「戦いは...あまりしたくないのだがな」

アスノーツ「ムーディ気絶しちゃったし戦わないとね...はぁ...」

ため息をつきながら鉄製の短剣を取り出し、牽制した。アスノーツは実際に戦うのは初めてで少し緊張をしていた。その緊張は相手への恐怖と言うより過去にムーディに教わった護身術ができるのかという自身への心配だった。
盗賊が振りかざしてきた剣を見てアスノーツはふと昔の記憶を思い出していた。

アスノーツ「あたっー!!!もう当てなくてもいいじゃんかムーディ!!!」

家の庭でアスノーツに対しムーディは護身術を教え込んでいた。ムーディはアスノーツの額に木剣を当て、倒れながらアスノーツは仰向けの態勢になった。

ムーディ「剣をもう少し強く握れ、俺の教えた通りやれば当たることないんだからよ」

アスノーツ「それにしたって反撃しちゃいけないってどういうこと!!!」

仰向けになっていたアスノーツは大声で言葉を返しながら座り込んだ。

ムーディ「理由は二つある、最初にも言ったが一つはお前に身につけてほしいのは攻撃じゃない、あくまで護身術...自分を守ることなんだから」

アスノーツ「そんなことしなくたって先にぶっ殺しちゃえばいいじゃん!!!」

教えてもらうことが嫌になったのか大声で屁理屈をかいてくるアスノーツを見てムーディは深いため息を吐き、少し空を見上げた後アスノーツを見て話し始めた。

ムーディ「確かにアスノーツ、君のとてつもなく強いパワーがあれば大抵のやつなら倒せるだろう、けどこの世には君より強いやつもいるし、何より殺しをしてほしくない」

アスノーツ「なんでー?」

ムーディ「私からは言えないがトゥムルが殺しはいかなる時であろうとしてほしくないといっていた」

アスノーツは口をとんがらせながら少し悩み小声で「トゥムルが言うなら...」と言った。

ムーディ「それに俺達がいつまでも一緒とは限らないからさ、ちゃんとした護身術を覚えてほしい、覚えればお前の為にもなるからな」

アスノーツ「疲れるし痛い!!!」

ムーディ「それだけは我慢してくれ、それにしてもトゥムルは何を読ませてんだ...ぶっ殺すとか物騒な単語覚えさせて...ほら再開するぞ」

アスノーツの剣と盗賊の剣が重なった瞬間アスノーツは我に戻った。一人の盗賊が執拗にアスノーツに剣を振り回してくるのに対し綺麗に受けまわしをアスノーツはしていた。

アスノーツ「...いや最後の記憶思い出さなくてよかったじゃん、トゥムルが読んでくれた本に悪いものはないんだからさ」

ぶつぶつと小言を話しながら盗賊の剣を受けまわした。アスノーツの剣技は盗賊の剣を受けるだけで攻撃をしない、その為盗賊の一人はあしらわれているように思い怒り出した。

盗賊「おい!貴様!ふざけてんのか!」

アスノーツ「そもそも『ライオンをぶっ殺せ』は面白かったんだよ、ムーディも今度読めばいいんだよ、そうだよ」

盗賊「無視してんじゃねぇ!」

アスノーツ「うるせぇ!!!誰だおめぇは!!!」

小言に集中しすぎて戦ってることをまたアスノーツは忘れてしまっていた。盗賊から見れば馬鹿にしてる行動この上なく、ブチ切れたようだ。

盗賊「いやっ!もうお前は殺す!ぶっ殺す!」

啖呵切った盗賊は飛び掛かって剣を振り下ろそうとしていた。それと同時にアスノーツは軽く頭の上に剣を投げた。
盗賊はアスノーツの行動に驚き一瞬ひるんだ。その瞬間を見逃さずお腹にめいいっぱいの掌底を一発叩き込み盗賊は気絶した。

アスノーツ「ムーディが相手に隙ができたら相手に予測できない行動を取れって言ってたけど絶対これじゃないよね...ってまだ三人もいたはず」

キョロキョロと辺りを見てみるとトゥムルと横に身動きが取れず固まった盗賊三人がいた。近くで見ると表面上に氷がうっすらとついていて動けなくなっていた。

トゥムル「大丈夫だったかアスノーツ」

アスノーツ「問題ないよー!!!それよりこれトゥムルがやったの?すごいね!!!」

トゥムル「...盗賊の増援がくるかもしれないからムーディ起こしてはやく向かおう」

アスノーツ「わかった!!!」

アスノーツはムーディの腹に蹴りをいれて起こした。先に進むと遠くから7、8台のトラックが連なってアスノーツ達の近くを横切ろうとしていた。

ムーディ「お!きたなぁ~」

にやにやと待ってましたとばかりにムーディは目を光らせていた。

アスノーツ「もしかしてムーディが呼んだの?!」

ムーディ「いや、違う」

トゥムル「来ることでもわかってたのか?あぁごみ収集トラックか」

ムーディ「せやで、この国で運営してるトラックだ、自動運転だから無人だし行く方向と同じところにごみ置き場があるからこれに乗っていくのもありだろう」

3人はトラックの荷台の上に乗りこんだ。荷台には山積みにごみがはいっておりその上に座り込んだ。

トゥムル「これで今日か明日には着くな...具体的には書いてなかったが確か町の名前は書いてあったな」

ムーディ「どうやら魔法界の人達がこの科学国ネクミ・ネネに住み着いてできた町らしい、まぁ手紙に書いてあっただけで地図には載ってなかったがな」

トゥムル「北上して地図に載ってるのは...星降りの地だけか」

ムーディ「その近くにあるらしいよ」

アスノーツ「星降りの地って何ー!!!」

興味津々でアスノーツは質問してきた。

トゥムル「ごみ置き場の別名だよ、世界最大規模のごみ置き場で星のごみすら落ちてくるって言う噂から国もそこの名前を星降りの地にしたらしい...俺達が乗ってるトラックもその星降りの地に向かっている」

アスノーツ「ほへぇ~...つまりおっきなごみ箱ってこと?」

トゥムル「そんなところだ、会う人は男性でいいんだよな?ムーディ?」

ムーディ「トゥムルも一回目を通したからわかるけど”妻と一緒に待つ”と書いてあるから差出人は男性だろう、けど妻もって言ってるからお出迎えは奥さんの方かもしんないな」

トゥムル「俺の知り合いで心当たりはないがムーディはあるか?」

ムーディ「なくは...ないけどふあぁ...」

不意にあくびがムーディの口から出てしまった。それにつられてアスノーツもあくびが出てしまった。

ムーディ「昨日の夜から寝てなかったわ...着くまで少し眠るわ」

そういうとすぐに横になり寝てしまった。アスノーツはあやとりをしようとバッグの中にあるあやとり用のひもを探し始めた。トゥムルはゆっくりと空を見上げ話し始めた。

トゥムル「...もう昼頃だね、朝からご飯食べてなかったから食べよっか...ムーディのバッグの中にいれてたはずだから...ぐちゃぐちゃになってそうだな」

そういえば盗賊達と戦った時にバッグを持ったままのムーディを投げちゃったと、はっと思い出し少し目が泳いだ。案の定弁当の中はぐちゃぐちゃだった。

アスノーツ「で、でもでも!トゥムルの作った弁当ならぐちゃぐちゃでも美味しいよ!!!」

トゥムル「そういってくれると嬉しいよ」

アスノーツは笑顔でむしゃむしゃと美味しいと言いながら食べていた。そんなアスノーツを見てトゥムルは少し微笑んだ。
眠りについていたムーディは夢を見ていた。

ムーディ「夢...か、いや”私”の記憶か」

辺りを見回すと軍基地の一部屋に自分ともう一人、男性がいた。

???「おいムーディ!3日前俺起こすの忘れて出動しただろ!」

ムーディ「あら?起こしてなんて言ってたかしら?」

???「言ったわ!...まぁそのおかげで面白い奴と出会ったがな!」

ムーディ「あなたが人に興味持つなんて珍しいわね、身内以外にあまり話しかけないあなたが」

???「任務いかなかった代わりに若いやつらの訓練教官してたんだ、上司命令でな、だが妙に元気がない奴がいたからよ話しかけたんだ」

ムーディ「それで?口臭いとでも言われたの?」

???「んなこと言われてねぇよ、そんでな言われたんだよ、”お前は何のために戦ってる?”ってよ」

ムーディ「...金の為?」

にやにやと笑いながらムーディはそう言った。

???「んなわけあるか!俺は大切な人の為に戦ってるってよ」

ムーディ「大切な人って?」

とぼけた風にムーディは返した。

???「お前だよお前、俺の”彼女”なんだから当たり前じゃないか、それにしてもそいつがな...あぁそいつの名前トゥムルって言うんだけどな...」

ムーディは笑顔で目の前の男性と会話していた。
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