asnotes
一面雪景色のこの町のボロ家の屋上で、何事もなかったかのように彼女は目を開いた。
アスノーツ「ふあぁ...朝か...外が見える...全面的に...」
ベッドから起き上がり、辺りを見渡すと壁がある位置からは町が見え、天井がある位置には青空が広がっており、下には天井だったであろう木屑が雪と共に散らばっていた。
長い白髪はボサボサに跳ねており、半開きに開いた眼の瞳は澄んだ水色をしている。彼女の名はアスノーツ。パーフォスと呼ばれる人が造った強化人間、いわゆる人造人間だ。そのせいで寝てる時、人と違い力の制御ができてないのか、寝相でだいたい朝は家が半壊している。
アスノーツ「また直してもらわないと...ってんっ?!」
隣にある研究所がアスノーツから見える位置に穴が空いている、その事にも驚きだがその穴から見知った顔の青年が手を振り、気軽にアスノーツを呼んでいる。
ムーディ「おはよー!...いやぁ隣の研究所がまさか欲しい薬を作ってて助かったわぁ...ちゃんと盗めたよ」
そりゃあ良いこったな、なんてアスノーツは思わない、それ以上に堂々と現在進行形で窃盗をドヤ顔で話す青年に呆れている。
青年の名はムーディ。センター分けの髪型で紫髪が特徴的な青年。アスノーツにとって身の回りの事をしてくれるいい奴とも思っているが問題を起こすから面倒な奴とも思っている。
アスノーツ「というか入ってばれなかったわけ?隣の研究所って確か国直属の進化開発機構の...」
ムーディ「ばれなかったけどもうすぐばれるだろうから移動しよっか!」
食い気味でムーディは言った。
アスノーツ「また引越しかぁ...もう3回目だよ?」
ムーディ「今回もゴミを盗ってきたわけじゃあないんだし、アスノーツ荷物をまとめてさっさと行こうか」
まただ、またこいつ話を聞いていなかったな。ムーディは話を聞かず、一方的な話をしてくる。それも問題起こした時は特に。
ムーディ「...とその前にトゥムル起こさないと!いや起きてるか賭けをしないか?」
アスノーツ「賭けとかしてる場合じゃないしトゥムルならいつも一番早く起きてるじゃない」
そんな時間もないと思うのに呑気な事だよムーディは...とアスノーツが思っていると、ムーディの後ろに青髪の青年がいた。
トゥムル「いや起きてるよ、おはよう...」
アスノーツ「おはよー!!!」
澄んだ声で挨拶をして出て来た彼の名はトゥムル。
ボサボサとした長い青髪に長い耳が特徴的な青年だ。その青髪はハリネズミのような固い髪で、獣人の種族ホッグニーヅレイスというものらしい。
トゥムル「何持っていけばいいかわかんないからとりあえず必要なものはもうまとめといたよ」
何でも先回りして気が利かせてくれる人だから私はトゥムルの方が好きだ。
ムーディ「流石トゥムル、気が利くじゃねえか!」
アスノーツ「じゃあめんどくさいけどはやく逃げよう」
あまり気乗りしないが仕方ない、一緒に捕まりたくないし逃げよう。
そう思って2分もしないうちに私達は街から出ていった。
*
しばらくして街が見えないくらいの場所まで来たので走るのをやめ歩いていくことにした。
アスノーツ「で聞きたいことは山ほどあるんだけどまず何を盗んできたの?種族変えの薬?それとも魔法抑止剤とか?」
ムーディ「今回は俺に関する薬を手に入れた」
アスノーツ「いつもそうじゃん」
ムーディ「いやぁそれほどでも~」
褒めてないんだけど。
トゥムル「...とすると記憶に関わる薬か、記憶復元薬とか?」
ムーディ「じゃん!ニョタイカクスリ〜」
聞いたことあるような無性にムカつくドラ声と共にムーディは盗んだ薬をポケットから取り出した。
アスノーツ「何があんたに関係してんのよ!なんも関係してないじゃん!」
ムーディ「いやいや関係してるよだって!」
トゥムル「...昔は女性だったかも?って言いたいのかい?」
ムーディは5年前から記憶喪失らしい、が本人がそう言っているだけで本当かは私もトゥムルもわからない。
ムーディ「そうそう!その通りさ!そう俺...いや私昔女性だった気がする...」
アスノーツはムーディの言葉で軽く引いた顔をしていた。
アスノーツ「まったく...前は老人になれる薬で?前の前は幼児になれる薬で今回は女体化薬?しかも1瓶だけ盗って国から追われることになるかもって私達生きていけるの?!」
ムーディはニヤついた顔でいた。
ムーディ「いやいや大丈夫だって!僕がやったって証拠はわかんないようになってんだから!」
この妙に自信ついた言動はいつもの事だ。
アスノーツ「もういいや...で?次はどこに住むの?そろそろ住む所ずっと同じところがいいんだけど」
ムーディ「次はこの国の南側に住む場所を決めようと思う」
アスノーツ「へー...北上してるのに?」
アスノーツはムーディの適当な話に呆れかばんについてる方位磁石を見ながら聞いた。
トゥムル「それには訳があってね、手紙を渡されたんだ、差出人不明の」
アスノーツ「へぇー無視すればいいじゃん」
トゥムル「その手紙には俺ら2人の名前が書いてあったんだ、しかも隊員時代の」
トゥムルとムーディは二年前まで戦争で一戦闘員として今私達がいる国ネクミ・ネネと戦っていたらしい。私が二人と出会ったのはその後だからよくは知らない。
アスノーツ「え?でパーティーにでも呼ばれたから行くってことなの?宴会用に女体化出来るように薬持って?」
トゥムル「いやそういう訳ではないんだろうだけど...気になることが書いてあって...」
トゥムルは口をごもらせながら話した。
ムーディ「まぁそゆことだからすまねぇが着いてきてくれアスノーツ」
アスノーツはめんどくさいと顔に書いてあるかのような不機嫌な顔をした。
トゥムル「...とは言え一緒に外で歩くのは久しぶりだな、楽しみながら歩こう...」
アスノーツ「そういえばトゥムルとムーディが一緒に外出るの久しぶりだね!!!」
ムーディ「トゥムルが最近本に夢中だったからよぁ、飲みに誘っても断るくらいだもんなぁ」
私と遊ぶのを断るほどだったからね、と言いたい程のうなずきをアスノーツはしていた。
トゥムル「続巻がある小説だったんだよ、最後まで時間を気にせず読みたくってね、少し家事に手抜いてたりもしてたよ、悪かったムーディ、アスノーツ」
ムーディ「手抜いてたのかよ!」
アスノーツ「次の家では一緒に遊んでね!!!ムーディあやとり下手だからさ!!!相手にならなくってつまんないから!!!」
トゥムルは「いいよ」とうなずいてくれた。心なしかムーディは少し胸を触っているように見えた。
トゥムル「ところでムーディ、俺達はどれくらいで目的地に着くんだ?」
ムーディ「計算してみたが歩いて三日くらいかかりそうだ...待ち合わせ場所が曖昧にしか書いてないんだよ」
アスノーツ「それじゃあ会えるかわかんないじゃん!!!っていうか三日もかかるなんて聞いてない!!!」
ムーディ「ま、まぁなんか見落としがあるかもしれないからもう一度見直すよ」
アスノーツ「三日も歩くなんて嫌だからね!!!」
そういってムーディは手紙を見直しながら少し申し訳ない態度をしていた。
トゥムル「...それにしても見事な白銀の世界だな...建物一つ見えない」
見渡す限りの雪原で大きな岩さえ雪が積もっているため、目を凝らさなければこれから進む道に高低差があるかもわからない程だった。
アスノーツ「綺麗だよね!!!引っ越すことになっても外の景色は好きだから少しくらい歩くことになってもいいって思っちゃう!!!」
少しならね。ムーディは手紙の見直しをしてるし、なんか目をそらすし...景色綺麗だけど飽きるのはすぐだしなぁ...あやとりでもしながら歩こうかなぁ
*
辺りを見ながら話をしているとキラッと光る何かをトゥムルは見てすぐに理解し後ろに下がった。
銃弾だ。アスノーツの目の前を横切り、ムーディの手紙を貫きそのままどこかにいってしまった。
ムーディ「今のは?」
トゥムル「...銃弾だ...そして左側から誰か来ている」
???「いやぁすまないねぇ?銃の練習していたんだが...たまたまそっちにいっちまったみたいだ、ごめんなぁ?」
白いコートに身を包んだいかつい男が五人ほど銃弾が来た方向から現れた。男達はそれぞれ雪に紛れるような白い武具を持っている。
盗賊「それにしてもこんな何もないところに何しに来たんだぁ?...ま、建前で聞いただけだ、俺達はここを縄張りにしている盗賊だ...ここいらの盗賊の噂なんてないだろ?俺達は来た人の身ぐるみ剥いでるだけなのに噂が流れないんだ...不思議だろ?」
真ん中に立っているリーダーらしき男がペラペラと中身がなさそうな話をしてくる。
盗賊「こんなところに護衛の一人もいないで旅してるのは金になるものを寄付してくれるってわけだろ?俺達は言うことを聞いてくれる奴の命までは取らない紳士集団だ...ま、と言うわけだ...お前ら服もろともここに置いておけ?」
盗賊の話が終わると威勢よくムーディが話し始めた。
ムーディ「嫌だね!だからやったれ!アスノーツ!やつらを倒すんだ!」
アスノーツ「え?めんどくさい?」
正直こいつらの話なんて聞いてなかった。方位磁石見ながら昼ご飯の事考えてたし。
ムーディ「いつもいつもあやとりなんかしてないでたまには外で身体動かすには絶好のチャンスじゃないか!最近組手も誰ともやってないんだしさ!だから!さぁ!」
あやとりなんか?、その言葉にカチンときたらしいアスノーツはムーディの胸元を掴んだ。
アスノーツ「身体動かすのめんどくさいし私は好きであやとりやってんの!!!...だぁかぁら!!!ムーディが!!!」
少しきれたアスノーツが男の大人であるムーディを片手で軽々しく持ち上げる。
ムーディ「ちょ...っと待っ...て?」
アスノーツ「やって!!!」
ムーディを盗賊めがけて投げた。
ムーディ「アスノーツ!!!!!」
トゥムル「...速いな」
冷静にムーディが通り過ぎるのをトゥムルは見ていた。投げられたムーディは息巻いていた真ん中の盗賊の方に飛んでいき、ぶつかればムーディも盗賊もひとたまりもない状況であることはみてわかるほどだった。
ムーディ「あーこれ死んだな、よけれねぇわ」
ぶつかることをわかっていた盗賊の仲間は真ん中の盗賊だけを置いて逃げていった。真ん中の盗賊が気づいたときには遅く、ムーディは盗賊とぶつかり二人で地面に転がり気を失った。
アスノーツ「ストライク?...ってやつ?」
少しぐらい仲間に気を遣ってやれよと思うような顔を盗賊達皆して気圧されている。
盗賊「...よ、よくも頭領をやったな!!てめぇら!!覚悟しやがれ!!ぶっころしてやる!!」
トゥムル「いやお前らが残して逃げたからじゃねぇか」
トゥムルは盗賊の頭領に少し同情の目を向けていた。
アスノーツ「ふあぁ...朝か...外が見える...全面的に...」
ベッドから起き上がり、辺りを見渡すと壁がある位置からは町が見え、天井がある位置には青空が広がっており、下には天井だったであろう木屑が雪と共に散らばっていた。
長い白髪はボサボサに跳ねており、半開きに開いた眼の瞳は澄んだ水色をしている。彼女の名はアスノーツ。パーフォスと呼ばれる人が造った強化人間、いわゆる人造人間だ。そのせいで寝てる時、人と違い力の制御ができてないのか、寝相でだいたい朝は家が半壊している。
アスノーツ「また直してもらわないと...ってんっ?!」
隣にある研究所がアスノーツから見える位置に穴が空いている、その事にも驚きだがその穴から見知った顔の青年が手を振り、気軽にアスノーツを呼んでいる。
ムーディ「おはよー!...いやぁ隣の研究所がまさか欲しい薬を作ってて助かったわぁ...ちゃんと盗めたよ」
そりゃあ良いこったな、なんてアスノーツは思わない、それ以上に堂々と現在進行形で窃盗をドヤ顔で話す青年に呆れている。
青年の名はムーディ。センター分けの髪型で紫髪が特徴的な青年。アスノーツにとって身の回りの事をしてくれるいい奴とも思っているが問題を起こすから面倒な奴とも思っている。
アスノーツ「というか入ってばれなかったわけ?隣の研究所って確か国直属の進化開発機構の...」
ムーディ「ばれなかったけどもうすぐばれるだろうから移動しよっか!」
食い気味でムーディは言った。
アスノーツ「また引越しかぁ...もう3回目だよ?」
ムーディ「今回もゴミを盗ってきたわけじゃあないんだし、アスノーツ荷物をまとめてさっさと行こうか」
まただ、またこいつ話を聞いていなかったな。ムーディは話を聞かず、一方的な話をしてくる。それも問題起こした時は特に。
ムーディ「...とその前にトゥムル起こさないと!いや起きてるか賭けをしないか?」
アスノーツ「賭けとかしてる場合じゃないしトゥムルならいつも一番早く起きてるじゃない」
そんな時間もないと思うのに呑気な事だよムーディは...とアスノーツが思っていると、ムーディの後ろに青髪の青年がいた。
トゥムル「いや起きてるよ、おはよう...」
アスノーツ「おはよー!!!」
澄んだ声で挨拶をして出て来た彼の名はトゥムル。
ボサボサとした長い青髪に長い耳が特徴的な青年だ。その青髪はハリネズミのような固い髪で、獣人の種族ホッグニーヅレイスというものらしい。
トゥムル「何持っていけばいいかわかんないからとりあえず必要なものはもうまとめといたよ」
何でも先回りして気が利かせてくれる人だから私はトゥムルの方が好きだ。
ムーディ「流石トゥムル、気が利くじゃねえか!」
アスノーツ「じゃあめんどくさいけどはやく逃げよう」
あまり気乗りしないが仕方ない、一緒に捕まりたくないし逃げよう。
そう思って2分もしないうちに私達は街から出ていった。
*
しばらくして街が見えないくらいの場所まで来たので走るのをやめ歩いていくことにした。
アスノーツ「で聞きたいことは山ほどあるんだけどまず何を盗んできたの?種族変えの薬?それとも魔法抑止剤とか?」
ムーディ「今回は俺に関する薬を手に入れた」
アスノーツ「いつもそうじゃん」
ムーディ「いやぁそれほどでも~」
褒めてないんだけど。
トゥムル「...とすると記憶に関わる薬か、記憶復元薬とか?」
ムーディ「じゃん!ニョタイカクスリ〜」
聞いたことあるような無性にムカつくドラ声と共にムーディは盗んだ薬をポケットから取り出した。
アスノーツ「何があんたに関係してんのよ!なんも関係してないじゃん!」
ムーディ「いやいや関係してるよだって!」
トゥムル「...昔は女性だったかも?って言いたいのかい?」
ムーディは5年前から記憶喪失らしい、が本人がそう言っているだけで本当かは私もトゥムルもわからない。
ムーディ「そうそう!その通りさ!そう俺...いや私昔女性だった気がする...」
アスノーツはムーディの言葉で軽く引いた顔をしていた。
アスノーツ「まったく...前は老人になれる薬で?前の前は幼児になれる薬で今回は女体化薬?しかも1瓶だけ盗って国から追われることになるかもって私達生きていけるの?!」
ムーディはニヤついた顔でいた。
ムーディ「いやいや大丈夫だって!僕がやったって証拠はわかんないようになってんだから!」
この妙に自信ついた言動はいつもの事だ。
アスノーツ「もういいや...で?次はどこに住むの?そろそろ住む所ずっと同じところがいいんだけど」
ムーディ「次はこの国の南側に住む場所を決めようと思う」
アスノーツ「へー...北上してるのに?」
アスノーツはムーディの適当な話に呆れかばんについてる方位磁石を見ながら聞いた。
トゥムル「それには訳があってね、手紙を渡されたんだ、差出人不明の」
アスノーツ「へぇー無視すればいいじゃん」
トゥムル「その手紙には俺ら2人の名前が書いてあったんだ、しかも隊員時代の」
トゥムルとムーディは二年前まで戦争で一戦闘員として今私達がいる国ネクミ・ネネと戦っていたらしい。私が二人と出会ったのはその後だからよくは知らない。
アスノーツ「え?でパーティーにでも呼ばれたから行くってことなの?宴会用に女体化出来るように薬持って?」
トゥムル「いやそういう訳ではないんだろうだけど...気になることが書いてあって...」
トゥムルは口をごもらせながら話した。
ムーディ「まぁそゆことだからすまねぇが着いてきてくれアスノーツ」
アスノーツはめんどくさいと顔に書いてあるかのような不機嫌な顔をした。
トゥムル「...とは言え一緒に外で歩くのは久しぶりだな、楽しみながら歩こう...」
アスノーツ「そういえばトゥムルとムーディが一緒に外出るの久しぶりだね!!!」
ムーディ「トゥムルが最近本に夢中だったからよぁ、飲みに誘っても断るくらいだもんなぁ」
私と遊ぶのを断るほどだったからね、と言いたい程のうなずきをアスノーツはしていた。
トゥムル「続巻がある小説だったんだよ、最後まで時間を気にせず読みたくってね、少し家事に手抜いてたりもしてたよ、悪かったムーディ、アスノーツ」
ムーディ「手抜いてたのかよ!」
アスノーツ「次の家では一緒に遊んでね!!!ムーディあやとり下手だからさ!!!相手にならなくってつまんないから!!!」
トゥムルは「いいよ」とうなずいてくれた。心なしかムーディは少し胸を触っているように見えた。
トゥムル「ところでムーディ、俺達はどれくらいで目的地に着くんだ?」
ムーディ「計算してみたが歩いて三日くらいかかりそうだ...待ち合わせ場所が曖昧にしか書いてないんだよ」
アスノーツ「それじゃあ会えるかわかんないじゃん!!!っていうか三日もかかるなんて聞いてない!!!」
ムーディ「ま、まぁなんか見落としがあるかもしれないからもう一度見直すよ」
アスノーツ「三日も歩くなんて嫌だからね!!!」
そういってムーディは手紙を見直しながら少し申し訳ない態度をしていた。
トゥムル「...それにしても見事な白銀の世界だな...建物一つ見えない」
見渡す限りの雪原で大きな岩さえ雪が積もっているため、目を凝らさなければこれから進む道に高低差があるかもわからない程だった。
アスノーツ「綺麗だよね!!!引っ越すことになっても外の景色は好きだから少しくらい歩くことになってもいいって思っちゃう!!!」
少しならね。ムーディは手紙の見直しをしてるし、なんか目をそらすし...景色綺麗だけど飽きるのはすぐだしなぁ...あやとりでもしながら歩こうかなぁ
*
辺りを見ながら話をしているとキラッと光る何かをトゥムルは見てすぐに理解し後ろに下がった。
銃弾だ。アスノーツの目の前を横切り、ムーディの手紙を貫きそのままどこかにいってしまった。
ムーディ「今のは?」
トゥムル「...銃弾だ...そして左側から誰か来ている」
???「いやぁすまないねぇ?銃の練習していたんだが...たまたまそっちにいっちまったみたいだ、ごめんなぁ?」
白いコートに身を包んだいかつい男が五人ほど銃弾が来た方向から現れた。男達はそれぞれ雪に紛れるような白い武具を持っている。
盗賊「それにしてもこんな何もないところに何しに来たんだぁ?...ま、建前で聞いただけだ、俺達はここを縄張りにしている盗賊だ...ここいらの盗賊の噂なんてないだろ?俺達は来た人の身ぐるみ剥いでるだけなのに噂が流れないんだ...不思議だろ?」
真ん中に立っているリーダーらしき男がペラペラと中身がなさそうな話をしてくる。
盗賊「こんなところに護衛の一人もいないで旅してるのは金になるものを寄付してくれるってわけだろ?俺達は言うことを聞いてくれる奴の命までは取らない紳士集団だ...ま、と言うわけだ...お前ら服もろともここに置いておけ?」
盗賊の話が終わると威勢よくムーディが話し始めた。
ムーディ「嫌だね!だからやったれ!アスノーツ!やつらを倒すんだ!」
アスノーツ「え?めんどくさい?」
正直こいつらの話なんて聞いてなかった。方位磁石見ながら昼ご飯の事考えてたし。
ムーディ「いつもいつもあやとりなんかしてないでたまには外で身体動かすには絶好のチャンスじゃないか!最近組手も誰ともやってないんだしさ!だから!さぁ!」
あやとりなんか?、その言葉にカチンときたらしいアスノーツはムーディの胸元を掴んだ。
アスノーツ「身体動かすのめんどくさいし私は好きであやとりやってんの!!!...だぁかぁら!!!ムーディが!!!」
少しきれたアスノーツが男の大人であるムーディを片手で軽々しく持ち上げる。
ムーディ「ちょ...っと待っ...て?」
アスノーツ「やって!!!」
ムーディを盗賊めがけて投げた。
ムーディ「アスノーツ!!!!!」
トゥムル「...速いな」
冷静にムーディが通り過ぎるのをトゥムルは見ていた。投げられたムーディは息巻いていた真ん中の盗賊の方に飛んでいき、ぶつかればムーディも盗賊もひとたまりもない状況であることはみてわかるほどだった。
ムーディ「あーこれ死んだな、よけれねぇわ」
ぶつかることをわかっていた盗賊の仲間は真ん中の盗賊だけを置いて逃げていった。真ん中の盗賊が気づいたときには遅く、ムーディは盗賊とぶつかり二人で地面に転がり気を失った。
アスノーツ「ストライク?...ってやつ?」
少しぐらい仲間に気を遣ってやれよと思うような顔を盗賊達皆して気圧されている。
盗賊「...よ、よくも頭領をやったな!!てめぇら!!覚悟しやがれ!!ぶっころしてやる!!」
トゥムル「いやお前らが残して逃げたからじゃねぇか」
トゥムルは盗賊の頭領に少し同情の目を向けていた。