このサイトは1ヶ月 (30日) 以上ログインされていません。 サイト管理者の方はこちらからログインすると、この広告を消すことができます。

asnotes

???は泣き叫ぶのに疲れていつの間にか気絶をしていた。目が覚めると雪が降っており、???は雪に埋もれていた。

???「...私は...ヒュウマ達に見捨てられた...いや違う」

???は最後にヒュウマが抱きかかえているのがムーディだと言うこと、そして今視界にあの少年がいない事に気づいた。

???「もしかして...いやもしかしてでもなんでもない私が...!」

身体が重い、そう思いながら近くにあった水面に駆け寄り自分の姿を確認した。ゆらめく水面に写るのはあの少年だ。

???「私が...あの少年なのか」

現状は理解出来たがこの状況を受け入れられなかった。???は思考を働かせた。この状況を受け入れられない自分、この状況になった理由を考え、考え抜いた先に考える事をやめた。

???「だめだ、わからん、罠であっても何からすべきか...はぁ...身体が思うように動かないしな..」

ゆらめく水面に写る少年の顔を見ながら???は信心深く話した。

???「私はムーディ・エヴァグレイン...じゃあないんだな...君は誰なんだ?少年...何が目的でこんな事を...君の能力がもし暴走してこの状況なら許す事が出来るよ...少なくとも私は」

???は何かを決意した顔つきになり立ち上がった。

???「とりあえずヒュウマにもう一度会おう...この状況で家族に会ってもわかっては貰えないしな...名前も変えとこう...本物のエヴァグレインはもう私じゃない」

立ち上がってゆらめく水面を見ると先程まで遠くて見えずらかった水面に写る月が月食だということに気づいた。

ムーディ「月食ルナ・イクリプスか...月が太陽の反射で食われているような日か .,.記憶を他者に食われたようなものだからな私も似たようなものか...なら私の名前はムーディ・イクリプスにしよう...私の明日アスに向かって」

ムーディは軍基地がある方にゆっくりと進んだ。
話は現在に戻り、トゥムルは少し驚いた顔をしていた。

ムーディ「私はその後だが、軍には入ったがヒュウマにも自分自身にも会うことは出来なかった」

エヴァ「私が植物状態に近い状態に陥ったからね、早急にヒュウマが軍を抜けて大きな病院と共に看病してくれたからね」

トゥムル「...それがムーディの今までの人生だったのか...5年前以前の記憶がないと言っていたがそれは身体のほうで中身はエヴァさんのほうと」

コクリとエヴァグレインは頷いた。

ムーディ「私は...私が自分自身と実際に会って出た感情は愛憎混ざり合って困惑したよ」

エヴァグレインはしんみりした表情でムーディを見た。

エヴァ「仕方ないよ...私だもの...」

エヴァグレインは真面目な顔付きになり肘をつき手を合わせた。

エヴァ「じゃあ2人を連れてきた理由にでも入ろっか...話長くなったしこの後私から聞きたいこともあるしさ、さっきも言ったように私の記憶は5年前そこのムーディ君に盗られた…勿論だけど返してほしい...返して貰えないかな?」

ムーディはこの話を聞いてくる事は分かっていたとばかりにエヴァグレインに目を向けていた。

ムーディ「それが出来ればな」

エヴァ「やはりできないか...なんとなくだけどそうだと思ってたよ」

ムーディ「私の能力も万能じゃなくってね、記憶を奪う事だけが能力らしい」

エヴァ「そうか...なら仕方ないか」

エヴァグレインは隠そうとしながら苦虫を噛み潰したような表情をしていた。

トゥムル「...そうすると一つだけ不可解なものが残るのだが...」

顎を触りながらトゥムルは頭を傾げていた。

トゥムル「ムーディは5年前なんでそこで放心状態で居たんだ?」

ムーディ「わからないが私の中にこの身体の本人の記憶がない以上逆に私の記憶を奪われたのかもしれない」

エヴァ「合点は行くけどそんな状況になるなんてムーディ君はどんな人生を歩んでいたのかしら」

ムーディ「で他に聞きたい話って何だい?」

エヴァ「お嬢ちゃ...アスノーツちゃんは...さっきの状況見ててだけどもしかして人造人間パーフォスかい?」

トゥムル「あぁ...人造人間パーフォスだ」

エヴァ「人造人間パーフォスって確かバーコードのようなのが何処かに付いているんじゃなかったっけ?見える所には無かったけどどうして?」

トゥムル「軍事用に潜入する為に付いてないらしくてな...アスノーツもそういう人造人間パーフォスだ」

エヴァ「軍事用ってじゃあアスノーツちゃんは私達が過去に戦った人造人間パーフォスって事だよね?そんな子とどうして2人はいるの?」

トゥムルとムーディは1回、目を合わせ同時にエヴァグレインを見つめトゥムルが話し始めた。

トゥムル「...約2年前に上官殺しで指名手配犯になった話は知っているか?」

エヴァ「ムーディ君がでしょ?新聞でその話は知ってるよ」

トゥムル「ムーディがした行動は表沙汰上官を殺し、逃亡だが、裏でした行動は俺とアスノーツがこの世に存在しない事にしようととった行動なんだ」

エヴァ「アスノーツちゃんをこの世に存在しない事?戸籍抹消とかそんな感じ?」

トゥムル「俺の場合は祖国リベラハーブの方では死んだ事にされている、アスノーツを存在しない理由だが俺達が行った任務は想像以上の仕事だったからだ」

エヴァグレインは固唾を飲み話を聞いた。

トゥムル「俺達が行った任務は人造人間パーフォスの製造工場の破壊だった...破壊にはほぼ成功した...」

エヴァ「ほぼ...」

トゥムル「誤算と言うべきなのか俺達の対応が遅かったのか身体のみが完璧に生成された人造人間パーフォスがいた...それがアスノーツ」

エヴァ「身体のみって事は不完全って事だよね?破壊すれば良かったんじゃなかったの?」

ムーディ「それはトゥムルの良心って奴であってそれともう1つ他の理由で破壊出来なかったんだ」

トゥムル「俺はその任務を隊長として上官から話を聞いていた...本来なら諜報員から前もった情報を聞かされ動くのが俺達が所属していた部隊なのだがその日の上官が言った言葉は諜報員との連携が取れていないかたったの2つだけ..."この工場にある爆弾を破壊せよ"、"アラレ計画を止めるのだ"と」

エヴァ「もう1つの理由ってのはそのアラレ計画ってやつ?」

トゥムル「そうだ...俺達も全容を知らない...がアスノーツの隠された力というのがアラレ計画で間違いない」

エヴァ「...聞いてみて全てにおいて壮大だったけど最初の質問には答えてないよね?どうしてアスノーツちゃんといるの?」

エヴァグレインの質問に対しトゥムルは目を合わせて気迫のある声で答えた。

トゥムル「アスノーツを普通の子にする為だ...戦争の為に作られ自らの意思じゃなく他国を破壊し挙げ句の果てに幸せを知らずに死ぬなんて...間違っている」

ムーディ「だからアラレ計画と言われるアスノーツの力を取り除く為に俺は動いているんだ」

エヴァ「あれ?ムーディ君一人称俺だっけ?」

ムーディ「...この体に入ってる記憶はムーディ・エヴァグレインの記憶だけじゃないからね時々変わっちまうんだよ一人称とか口調とか」

トゥムル「...以上がアスノーツと一緒にいる理由だ...他に質問はあるか?」

エヴァ「う〜ん今の所は特にないかな、私は」

ムーディ「なら今日はもうゆっくりさせてもらうよ結構ないい時間だと思うしね」

エヴァ「明日からは家と酒場修理しろよな」

ムーディとトゥムルはアスノーツが寝ている部屋に向かった。

トゥムル「...話してよかったのだろうか」

トゥムルはボソリと口からこぼれたようにつぶやいた。

ムーディ「問題ないだろう、仮にもあれの中身は私なんだぜ?これ以上ない程信用できねぇか?」

トゥムル「...そうだな」

ムーディ「それにしても見てみろよ、バカみてぇな寝顔してるぜ」

アスノーツは大の字に寝転がり大きく口を開きヨダレを出しており、どことなく笑みがこぼれていた。

トゥムル「...久しぶりの3人での外出か...それともエヴァさんと話した事が嬉しかったのか...」

ムーディ「そうそうトゥムル、私明日からまた単独でどっか行ってくる」

トゥムル「今度は...いやそうかリベラハーブか...指名手配犯でありながら墓参りの為に行く事などないだろう」

ムーディが言わずともトゥムルは行き先がわかっていた。

ムーディ「俺が行かず、誰が死んだあいつらを弔ってあげるんだ」

トゥムル「...なら俺も」

ムーディ「いやお前は行かなくていい、お前を死んだ事にした理由がなくなるし、何よりアスノーツを見守る人が居なくなるだろう」

トゥムル「それも...そうだな」

ムーディ「私がいない間にしておいて欲しい事があるんだがいいか?」

トゥムル「...なんだ」

バッグの中をまさぐりながらムーディはトゥムルに笑顔を向けた。

ムーディ「新居探ししてくんねぇか?勿論この町に住むでも構わないんだけどさ」

トゥムル「新居探しって行ってもいつもお前が探してるじゃねぇか...俺がどうやって探せばいい」

ムーディ「いつも行ってる不動産屋がある、合言葉言えば入れるからよ、教えとくよ...それとこれ!」

ムーディはカードのような物を2枚程取り出してトゥムルの眼前でチラつかせた。

トゥムル「...近い...なんだこの札のような物は...これが噂に聞くポイントカードってやつか?!」

ムーディ「ふっふっふ違うんだなぁこれは偽造証明書ってやつだ!これがあればこの国ネクミ・ネネの都市に入る事ができる」

トゥムル「成程...これで都市にある不動産屋に行けばいいんだな」

ムーディ「毎度話がはやくて助かるよ、詳しくは明日言うからじゃあ先に寝るわ」

そう言うとすぐに床に伏せてムーディは寝た。トゥムルは2人の寝顔を見た後空を眺めながらゆったりと自分の時間を過ごした。
7/23ページ
スキ